抄録
Crohn病(CD)患者における疾患活動性評価において,当院では患者の負担を軽減する目的で内視鏡検査とMR enterocolonography(MREC)を併用している。MRECは近年,欧米を中心にCDに対する小腸・大腸評価のモダリティとして普及しつつある。CD患者が長期にわたり定期検査を受ける必要があることを踏まえると,MRECは被曝なく消化管評価を行うことができ,内視鏡検査に比較しても低侵襲であるというメリットがある。さらに注腸検査のように術者の技量に左右されないこと,また病変部位の同定が可能であることから,時間軸での比較に優位性がある。その正確性についても良好な報告が数多く存在し,今後日本でも普及していく可能性がある。潰瘍などのdeep mucosal lesionについては,MRECでも良好に検出されることが報告されている。今回我々は,同時期に大腸内視鏡検査とMREC検査を行ったCD患者について,比較的浅い病変についてもMRECで検出されるのか,またどのような所見で不一致となるのか,検討を行った。対象としたMREC像での4所見について,単独ではびらん・発赤の検出率は低かったが,これらを組み合わせることでびらんについては高い検出率を得ることができた。しかし比較的浅い病変については,MREC像上のrelative contrast enhancementは偽陽性率も高かった。