2016 年 89 巻 1 号 p. 54-57
症例は53歳,男性.持続性咳嗽を認め,喀痰培養にてMycobacterium avium complexが検出されたため,肺非結核性抗酸菌症の診断にてrifampicin, ethambutol, clarithromycinの投与を開始した.投与後1週間前後より下痢,腹痛を認め,薬剤中止後にも改善しないため入院加療となった.入院後,禁食,点滴管理を行ったが,1カ月以上経過しても症状の持続を認めた.腹部CTでは全結腸の浮腫状の肥厚,大腸内視鏡検査では血管透見像消失,びらん,潰瘍,易出血性,膿性分泌物付着等を認め,潰瘍性大腸炎(UC)が疑われた.しかし薬剤の関与も否定できないため,薬剤の再投与を行わず,アミノサリチル酸塩剤投与による治療を行った.投与後から症状が改善し,経過良好にて退院した.UCの診断基準として薬剤性腸炎の除外が必要である.自験例では,薬剤を契機に発症しており,またUC類似の薬剤性腸炎の報告もあるため,早期にUC治療の介入が難しかった.調べた限り同様な報告はなく,稀な症例と考え報告する.