Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
当院におけるLECSの治療現況と早期胃癌に対する新たな試み
森 幹人首藤 潔彦道田 知樹松原 久裕幸田 圭史
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2017 年 91 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

2006年1月から2016年12月までの間,腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)を施行した胃粘膜下腫瘍36例と早期胃癌3例の合計39例について治療成績を検討した.胃粘膜下腫瘍36例における手術成績は,手術時間の中央値が189分(112-373分),出血量の中央値が5ml(5-455ml),開腹移行例はなく,術後在院日数の中央値が9日(5-16日)であった.Clavien-Dindo分類(C-D)GradeⅡ以上の術後合併症を36例中3例(8.3%)で認め,36例中1例(2.8%)に再手術を要したが,全例で再発を認めなかった.また,ICG蛍光色素法によるセンチネルリンパ節を指標としたセンチネルリンパ節流域郭清を併用したInverted LECSを早期胃癌3例に施行し,手術時間の中央値は280分(213-331分),出血量の中央値は70ml(10-150ml),郭清リンパ節個数の中央値は6個(4-7個),開腹移行はなく,術後在院日数の中央値は9日(9-11日)であった.また,C-D分類GradeⅡ以上の術後合併症,あるいは再発は認めなかった.胃粘膜下腫瘍に対し安全かつ低侵襲な治療法であるLECSは,今後十二指腸や大腸病変,あるいは早期胃癌に対し臨床応用が期待されるが,その適応や手技等に問題点も指摘されており,さらなる診断・技術の向上が必要であると思われた.

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© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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