食道ESDにおける低用量デクスメデトミジン(Dexmedetomidine ; 以下DEX)鎮静法の有用性および安全性を検討することを目的に,ミダゾラム(midazolam ; 以下MDZ)とペンタゾシン(Pentazocine ; 以下PTZ)の持続投与を中心に鎮静を行ったM群(32例34病変)と,DEXの持続投与を中心に鎮静を行ったD群(21例21病変)において,検体長径,治療時間,MDZおよびPTZ総投与量,体動と併用薬剤,血圧,脈拍,酸素投与の有無等を比較検討した.2群間で患者背景および検体長径,治療時間には有意差を認めなかった.MDZおよびPTZ総投与量,酸素投与例,体動による薬剤追加例はDEX群で有意に少なく,粗大な体動はDEX群で少ない傾向がみられたが,脈拍低下はDEX群で有意に多い結果であった.低用量DEX鎮静法は,呼吸抑制,粗大な体動が少なく,食道ESD時の鎮静方法として有用であるが,適切なモニタリングと循環動態の管理が必要であった.