Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
H. pylori感染胃炎における症状・除菌率と萎縮程度の検討
小熊 一豪佐藤 雅久保 定徳白石 廣照矢野 剛司相原 成昭松川 正明熊谷 一秀
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2018 年 92 巻 1 号 p. 50-53

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抄録

【目的】H. pylori感染胃炎における消化器症状・一次除菌率と萎縮の程度について検討する.【方法・対象】2013年3月から2018年3月までに上部消化管内視鏡検査で木村・竹本分類による萎縮性胃炎と診断されて尿素呼気試験でH. pylori感染胃炎と診断された70症例中,保険適用である一次,二次除菌に成功した69症例を対象とした.除菌前にGOS質問票を使用して,一次除菌成功例と失敗例の症状程度を比較検討した.一次除菌レジメンはEPZ40mg分2+AMPC1,500mg分2+CAM800mg分2/日を7日間である.【結果】H.pylori一次除菌成功率は74.3(52/70)%であった.CⅠ94.4%(17/18),CⅡ60.9%(14/23),OⅠ46.2%(6/13)を比較した限りでは萎縮が低い方が除菌率は高いと考えられた.一次除菌成功例の胃痛,胸やけ,胃もたれ,吐き気は失敗例と比較して有意に軽度であった(p<0.05).一次除菌成功例の胃酸逆流,膨満,げっぷ,食欲不振は失敗例と比較して症状の程度に有意差を認めなかった(p>0.05).【結語】萎縮性胃炎の程度が低い方が除菌率は高いと考えられた.一次除菌成功例の胃痛,胸やけ, 胃もたれ,吐き気は失敗例と比較して除菌前に軽度であり除菌率は高かった.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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