2018 年 92 巻 1 号 p. 69-73
【目的】急性胆囊疾患に対する内視鏡的経乳頭的胆囊ドレナージ術の治療成績を分析し,その特徴を明らかにすること.【対象と方法】2012年1月から2017年10月までの期間において,治療目的で内視鏡的経乳頭的胆囊ドレナージ術を試みた25例を後方視的に調査した.【結果】治療対象とした急性胆囊疾患の内訳は,急性胆囊炎が22例(88%),胆囊出血2例(8%),胆囊穿孔1例(4%)であった.技術的成功率は76%(19/25例)で,内視鏡的経乳頭的胆囊ステント留置術を13例,内視鏡的経鼻胆囊ドレナージ術を6例に行っていた.技術的成功例の中での臨床的成功率は,84%(16/19例)であった.臨床的不成功となったのは,胆囊出血に対して内視鏡的経鼻胆囊ドレナージ術を行った2例と,軽症急性胆囊炎に対する内視鏡的経乳頭的胆囊ステント留置術後に遅発性胆囊穿孔が起きた1例であり,これら3例は外科手術となった.偶発症は2例(8%)で起こり,胆囊管穿孔1例と遅発性胆囊穿孔1例であった.【考察】検討対象となった全25例において,内視鏡的経乳頭的胆囊ドレナージ術は16例(64%)の症例に有効であった.経乳頭的胆囊ドレナージ術は,経皮経肝胆囊ドレナージ術が適さない胆囊炎で,胆囊出血がない場合に治療選択肢の1つとなると考えられた.