Progress of Digestive Endoscopy
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症例
膵仮性囊胞に対して,内視鏡的ドレナージ術が有効だった1例
湊 尚貴今泉 弘宮田 英治長谷川 力也金子 亨山内 浩史奥脇 興介岩井 知久木田 光広小泉 和三郎
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2018 年 92 巻 1 号 p. 74-76

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抄録

症例は38歳,男性.約20年来の大酒家.腹痛のため近医を受診し,腹部CTにて膵仮性囊胞を伴う慢性膵炎と診断された.保存的加療にて囊胞は消失した.しかし1年後に膵囊胞の再発と腹痛を認めたため当院紹介受診となった.腹部CTでは膵頭部に約54mm大の仮性囊胞を認めた.ERPでは腹側膵管を介して囊胞腔内が造影され,同部位にENCDを施行した.主膵管評価目的で再度ERCP施行した.主乳頭より造影では腹側膵管のみ造影され,副乳頭からの造影では背側膵管より拡張した体尾部の膵管が描出され腹側膵管との交通はみられなかった.膵管造影所見より膵管癒合不全と診断した.主乳頭より囊胞腔内にstent留置し,副乳頭より拡張した主膵管内に膵管stentを留置した.3カ月後に施行した腹部造影CT検査では囊胞は消失していた.
 膵管癒合不全を伴うアルコール性慢性膵炎に合併した膵仮性膵囊胞に対して経乳頭的ドレナージは有用であると考えられた.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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