Progress of Digestive Endoscopy
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原著
経皮内視鏡的胃瘻造設術における抗血栓薬休薬と出血性合併症の検討
成田 徹村瀬 博美米田 五大岩崎 圭宮﨑 正二郎
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2019 年 94 巻 1 号 p. 32-35

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抄録

【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)における抗血栓薬と出血性合併症の検討.

【方法】2014年から2017年に施行したPEG(introducer法)201例を対象として診療録より後方視野的に検討.

【成績】抗血栓薬投与のない134例(66.7%,非投与群)に対し67例(33.3%,休薬群)に抗血栓薬が投与され,全例ガイドラインおよび添付文書に準じて術前に休薬がなされていた.抗血栓薬の内訳はDOAC25例,ワルファリン12例,抗血小板薬34例で7例が2剤併用.

術後14日以内の早期合併症は全体の33例(16.4%)に認め,内訳は出血13例,粘膜裂創7例,ガイドワイヤーの逸脱1例,発熱1例,嘔吐1例,皮下気腫1例,自己抜去2例,胃潰瘍1例,心不全1例,胆嚢炎3例,肺炎3例(重複あり).

出血性合併症は休薬群に7例(10.5%),非内服群に5例(4.5%)発生.出血性合併症の1例は術中の粘膜裂創に対しクリッピングによる縫縮術の翌日に出血をきたし内視鏡的止血術を実施.他の出血症例は刺入部からの出血で,縫縮もしくはガーゼによる牽引で止血.輸血を要した症例や,抗血栓薬休薬中の血栓塞栓症の発生は認めず.出血はすべて術後4日以内に生じており,休薬群の出血性合併症症例では全例が抗血栓薬再開前に出血をきたしていた.

【考察】抗血栓薬の休薬でPEGは比較的安全に施行可能であるが,出血性合併症の可能性がやや高く注意を要する.抗血小板薬の再開は造設数日後に出血することがあることを念頭に決定する必要がある.

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© 2019 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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