2020 年 96 巻 1 号 p. 61-63
症例は76歳女性.前日からの上腹部痛と嘔吐を主訴に当院消化器内科を受診.既往歴に特記事項はない.血液検査でWBC 8800,CRP 5.58と炎症値の上昇を認め,腹部造影CTで小腸内の異物および腸管の拡張を認めた.Free airは認めなかった.生活歴より魚骨による小腸穿通と診断し,上部消化管内視鏡検査および小腸内視鏡検査を即日施行した.内視鏡検査においては食物残渣が多く,穿通部位に到達することができず,翌日緊急で外科的手術の方針となった.手術は全身麻酔下,仰臥位で施行.回腸末端から口側に腸管を辿ると非拡張腸管から拡張腸管に移行する部位で明らかな腸管の炎症所見を認めたが魚骨は同定できなかった.穿通部位として考えられるのはその他の腸管には認められなかったため,魚骨は移動したものと判断し炎症部位を含めた範囲で小腸部分切除術を施行した.術後第5病日で再度術前同様の腹部症状を認めたため,腹部CT施行したところS状結腸に異物を確認した.これを下部消化管内視鏡検査により除去した.術後経過良好で第12病日で退院となった.穿通をきたした小腸異物に対し内視鏡的アプローチと外科的アプローチを施行した希少な症例を経験したので若干の文献的考察を含め報告する.