2020 年 97 巻 1 号 p. 44-49
出血性十二指腸潰瘍に内視鏡的止血が困難な場合や再発を繰り返す場合,代替治療として血管内治療・手術が検討されるが,全身状態が不安定な症例では代替治療が困難な場合も経験する.今回Over-The-Scope clip(OTSC)により代替治療を回避できた2症例を提示する.症例1:82歳,男性.腎癌術後再発,腎後性腎不全で入院していた.出血性十二指腸潰瘍を認め止血を行うも再出血を繰り返し,6回目の焼灼止血後も再出血を来したためOTSCで潰瘍底を縫縮した.その後再出血せず経過した.症例2:79歳,男性.特発性血小板減少性紫斑病,脳梗塞の既往あり.タール便のため救急搬送となった.出血性十二指腸潰瘍を認めたが一部穿通を伴っており,OTSCで潰瘍底を縫縮した.再発なく第12病日に退院となった.従来法による内視鏡的止血困難例では,より強力かつ広範に組織を把持できるOTSCが新たな選択肢となる可能性がある.