消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
内視鏡的粘膜切除術にて切除した十二指腸カルチノイドの1例
栗原 伸久斎藤 直也谷 雅夫神戸 文雄竹下 公矢遠藤 光夫
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1996 年 48 巻 p. 107-110

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抄録

 症例は63歳,男性。心窩部痛を主訴に近医受診。上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部前壁に隆起性病変を認め,生検でカルチノイドと診断され,加療目的で当科入院となった。病変は通常内視鏡検査で粘膜下腫瘍を呈し,超音波内視鏡検査では第2層に連続し,粘膜下層の中層まで及ぶ径5mmの粘膜下腫瘍であった。周囲のリンパ節腫大は認めなかった。内視鏡的粘膜切除術を施行し,病変は1回で完全切除された。切除標本の組織学的所見では,粘膜内から粘膜下層にひろがる径5mmのカルチノイドで,切除断端は陰性であったが,病変部中心に静脈侵襲(v1)を,病変部近傍にリンパ管侵襲(ly1)を認めた。現在までに局所再発は認めていないが,今後は厳重な経過観察が必要と思われた。

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© 1996 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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