消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
金属ステントを用いた肝両葉内瘻化が有効であった肝門部胆管癌の1例
小池 康新井 一成河村 正敏石井 博上田 和光中村 明央長山 裕之花田 裕之草野 満夫松井 青史橋本 東児
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1996 年 48 巻 p. 119-122

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抄録

 症例は67歳男性。倦怠感,肝機能障害にて1994年12月内科入院。CT・ERCP検査で肝内胆管の拡張と肝門部に狭窄を認め,肝門部胆管癌の診断で1995年2月外科転科したが,癌浸潤が広汎なため放射線治療を開始した。左右よりPTCD留置し内瘻化した後,直径10mm,長さ40mmのAccuflex selfexpandable metallic stent(以下SEMS)を左右胆管に両側同時に留置した。その後減黄は維持され,退院したが,癌性腹膜炎のためステント留置後第43病日に死亡した。留置後は死亡時まで良好に減黄され,またステントは互いに拡張を妨げることなく十分な拡張が得られ,機能は保たれていた。SEMSを用いた肝両葉内瘻化を行い十分な減黄効果が得られた1例を経験し,本法は切除不能肝門部胆管癌に対し有用な方法であると思われ報告する。

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© 1996 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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