消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
Barrett食道より発生し表層拡大進展を呈した早期食道癌の1例
崎村 恭也町野 裕之松丸 克之佐伯 日出貴家富 克之半田 祐一三好 和夫
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キーワード: Barrett食道, 早期食道癌
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1996 年 48 巻 p. 93-96

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抄録

 症例は60歳男性。大量飲酒後に吐血を来たし某病院を受診,出血性胃炎の診断で内服治療していたが,自宅に近い当病院を受診した。食道二重造影では気管分岐部より肛門側の粘膜は不整で,小隆起性病変と粘膜集中像もみられた。また滑脱ヘルニアも伴っていた。上部消化管内視鏡検査では,切歯列より28cm以上の肛門側の粘膜は胃粘膜類似であったが,血管透見性はなく,複数の結節と潰瘍瘢痕が認められた。同粘膜からの生検で腺癌の診断が得られた。Barrett食道癌の診断のもとに食道亜全摘を施行した。病理学的な検索では,Barrett食道の広い範囲に及ぶ管状乳頭腺癌で,大部分はm癌であったが,一部smに浸潤していた。脈管侵襲はなく,所属リンパ節転移もみられなかった。Barrett食道に合併した早期癌の報告は10数例で,本症例のように広範な病変を呈したものは非常にまれなので報告する。

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© 1996 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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