消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
体外式超音波検査からみた右結腸の蠕動収縮について
河原 秀次郎羽生 信義平井 勝也青木 照明
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1999 年 55 巻 2 号 p. 34-37

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抄録

 著者らは,これまで体外式超音波検査を用いたwater sealed method(WS法)によって大腸の運動機能評価を試みてきた。その結果,WS法で観察可能であったのは盲腸から下行結腸までであるが,右結腸では蠕動収縮と腸内容の移動は一致していたが,横行結腸から下行結腸では必ずしも一致せず,蠕動収縮を伴わない腸内容の移動が観察された。よって右結腸は'能動的移送機能’を有しているものと考えられ,大腸運動機能を評価する上できわめて重要であり,今回右結腸の蠕動収縮の実態を解明するためにWS法と大腸鏡を用いて検討した。WS法での検討では,右結腸の積極的な蠕動収縮は盲腸から肝弯曲部に向かって生じ,半月ヒダの形成およびhaustraの緊張と盲腸の弛緩・拡張がこの蠕動収縮において重要な因子であることが判明した。一方,内視鏡検査による検討では,右結腸の蠕動収縮は半月ヒダによって分けられた細かい腸管のsegmentが,盲腸から肝弯曲部に向かって連続的に圧縮されていくことが観察された。すなわち,右結腸の蠕動収縮は蛇腹のように収縮するのであって,小腸のように'拡張した腸管の口側と肛側が収縮した状態の連続的な移動’のような収縮は全く観察されなかった。以上より右結腸の蠕動収縮では,①半月ヒダの形成が十分に生じる。②腸管壁が緊張しsegment内圧が保たれる。③盲腸から肝弯曲部に向かって連続的なsegmentの圧縮が生じる。の3因子が重要であると考えられた。

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© 1999 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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