2000 年 56 巻 2 号 p. 34-37
症例は67歳,女性。1995年3月頃から食思不振,体重減少を認めたため近医を受診。胃透視で胃体上部小彎前壁よりに径約5cmの亜有茎性のポリープを認めたため,当院内科を受診。胃内視鏡検査で同部位に結節状の亜有茎性の隆起性病変を認めたためポリペクトミーを施行。病理組織所見では高度異型を伴った管状腺腫であった。同年8月の内視鏡検査で切除部位の口側に径約8mmの扁平状の隆起性病変を認めたため,内視鏡的粘膜切除術を施行。病理組織所見では亜有茎性で大部分は管状腺腫であるが,中心の一部に粘膜内癌を認めた。1998年3月の内視鏡検査で噴門部大彎側に径約3cmの結節状の亜有茎性の隆起性病変を認めたため,ポリペクトミーを施行。病理組織所見では中等度異型を伴った管状腺腫であった。亜有茎性を呈した胃腺腫は癌の併存率が高く,胃生検では良悪性診断に限界がみられることから,診断と治療をかねた内視鏡的切除術が施行されるべきと考えられた。