消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
腹腔鏡が診断の契機となったC型慢性肝炎合併ポルフィリン代謝異常の1例
藤井 陽一朗室久 俊光岡本 裕須藤 康司渡辺 秀考玉野 正也小熊 資男飯島 誠柳沢 伸嘉前原 操菅谷 仁寺野 彰
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2000 年 57 巻 2 号 p. 56-57

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抄録

 症例は48歳,男性。日本酒3合/日,28年間の飲酒歴あり。1997年健診にて初めて肝機能障害を指摘され,1999年8月近医を受診,HCV抗体陽性,AST 59IU/l,ALT 156IU/lと肝機能障害あり。同年11月C型肝炎に対するインターフェロン治療を希望し当科紹介受診,12月精査目的に入院。入院時,皮膚に異常所見なし。確定診断の目的に腹腔鏡,肝生検を施行した。
 腹腔鏡では肝は腫大し,表面には小陥凹を認め,慢性肝炎に合致する所見を,また肝表面には地図状に暗青色部を認め,腹腔鏡上ポルフィリン症の存在を疑った。その後ポルフィリン代謝産物の測定にてポルフィリン代謝異常と診断した。
 C型肝炎に晩発性皮膚ポルフィリン症の合併は知られているが,本例では皮膚所見がなく腹腔鏡検査にて初めてポルフィリン代謝異常が疑われ,診断の契機となった。

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© 2000 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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