ペドロジスト
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新第三系に由来する酸性硫酸塩土壌 : I.その特性
佐々木 信夫
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1978 年 22 巻 1 号 p. 2-11

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抄録

新第三系のある種の地層の堆積岩砕屑土壌に農作物の激甚な枯死現象が発生したが,その事例を詳細に検討をした結果,新第三系堆積岩に由来する酸性硫酸塩土壌であることが判明した。そして新第三系堆積岩中の硫黄化合物の存在形態としてパイライトをX線回折により同定確認した。東北地方の新第三系について,主に岩手地方に分布する地層について硫黄含量とH_2O_2酸化による酸性度を調査した結果,鮮新統では油島層・有賀夾炭層・金沢夾炭層・本畑層に,中新統では黒沢層・下黒沢層・小志戸前層・鈴鴨層・湯本層・門の沢層に強酸性化する母材が存在することが知られた。また,H_O_2酸化によるpH3.5以下を示す母岩および砕屑土壌を酸性硫酸塩土壌の領域とし,母岩では王水可溶性S400mg%以上を含むものを,この素因をもつ母材とした。

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© 1978 日本ペドロジー学会
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