ペドロジスト
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南アルプスのポドゾル及びポドゾル的土壤について
近藤 鳴雄
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1959 年 3 巻 1 号 p. 2-7

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抄録

南アルプスにおけるポドゾル的土壤及びポドゾルを調査し,その形態的,化学的特質と植生との関係について論じた。1)標高2050mの転付峠(亜高山帶)において,シラビソ・コメツガなどの針葉樹林下にみられるポドゾル的土壤は,粗腐植層の下に1cm以下のうすい漂白層をもち,B暦における顕著な鉄の集積はみられない。反応は酸性で強い洗脱をうけており,粘土の分子比などから,ポドゾル化作用の存在を認められる。この土壤は低山帶の非ボドゾル的土壤から,高山帶のポドゾルに移行する中間に位するものである。2)標高3080mの小赤石岳山頂部附近(高山帶)の階段状地帶において,ハイマツの下にみられるポドゾルは,粗腐植層の下に厚い明瞭な漂白層を持ち,BC層に顕著な鉄の集積がみられる。反応は強酸性で,腐植の移行がみられ,粘土の分子比などから明白にポドゾル化作用が認められる。このポドゾルの生成機構は,寒冷多湿な地方のそれとは異なり,地表部の乾燥による粗腐植層の形成と,それに起因する酸性腐植の生成及び,その溶脱作用によるものであると思われる。

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© 1959 日本ペドロジー学会
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