ペドロジスト
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データベースに基づく環太平洋火山帯北部に分布するアンディソルの特性 : II. 化学的性質
南條 正巳庄子 貞雄
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1993 年 37 巻 2 号 p. 87-95

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抄録

東北日本,アリューシャン列島,アラスカ,ワシントン,オレゴン州に分布する火山灰土壌の各種化学的性質について既往の知見を再確認した上で pH7 におけるアルミニウム腐植複合体のカルボキシル基の状態を推定した。これらの試料のAl_OとFe_O/2含量の平均値はそれぞれ2.1%, 0.67%で,これらは全Al, Fe/2含量の約21%(両者とも)に相当する。活性アルミニウムの組成を示すAl_O/Al_O値は0.1〜0.4と0.7〜1.0に二つの極大を持ち,アロフェンのAl/Si原子比は主として2であった。リン保持量85%に達するAl_O+Fe_O/2含量は1.0〜2.5%でアルミニウム腐植複合体中のアルミニウムはアロフェン,イモゴライト中のアルミニウムよりもリン酸イオンとの反応性が高い。A層試料のpH(H_2O)は4.2〜6.2の値を示し,アリック試料,非アリック多腐植質試料,非アリック寡腐植質試料の順に上昇した。最表層を除くA層のOC/Al_p原子比は約13であった。一方,pH7ではOC39モル当たり1モルの負荷電が発現する。腐植はOC40モル当たり4個のカルボキシル基を持つと仮定するとそのうち3個のカルボキシル基はアルミニウムと複合体を形成しており,残りの1個がフリーであると推定された。

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© 1993 日本ペドロジー学会
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