1960 年 4 巻 2 号 p. 98-111
40年間ほぼ同一気候条件下で土壤化した,1914年噴出の桜島火山灰に由来する土壤の腐植を検討し,以下の知見を得た。1)森林状態で土壤化した場合,多量の腐植が集積するが腐植化度は低い。草原状態では,母材である火山灰の粒度および堆積場所の相異により,集積する腐植の量が異なるが,ゴキダケおよびススキが植生の優位るめ占を段階で,腐植化度の高い腐植が多量に集積する。2)草原の表層土では,一般に,a)腐植集積量の増加,b)腐植酸の腐植化の進行,c)粘土のアロフェン的性格の強化,d)遊離礬土の増加・の各項は,あいともなって変化する。3)腐植集積量が少ない段階では,草原においても,湿潤な環境下では,腐植化度が低い腐植がやや多く集積し,乾燥した条件下では,腐植化度中程度の腐植が少量集積する。