ペドロジスト
Online ISSN : 2189-7336
Print ISSN : 0031-4064
黄褐色森林土と赤黄色土の微細形態学的特徴
百原 香織永塚 鎮男
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 41 巻 2 号 p. 99-108

詳細
抄録

遊離鉄の活性度と結晶化指数の値から,典型的黄褐色森林土,典型的赤黄色土に分類される土壌と黄褐色森林土由来の集積水田土の微細形態の観察を行った結果,以下の結論が得られた。(1)典型的黄褐色森林土には,粘土の機械的移動により形成される粘土被覆(argillan)が見られなかった。グラウンドマス中に粘土被覆の破片がないことや,複屈折ファブリックの発達が見られないことからも,これらの典型的黄褐色森林土では粘土の機械的移動は起こっていないと結論される。(2)黄褐色森林土由来の集積水田土には明瞭な粘土被覆が認められるが,これは潅概水の影響により周期的に水没する条件下で形成された粘土被覆(gleyan)であり,通常の粘土の機械的移動でできる粘土被覆(argillan)とは生成過程が異なる。(3)典型的赤黄色土には明瞭な粘土被覆があり,粘土の機械的移動があったことを物語っているが,B層上部の粘土被覆は現在の土壌生成作用下で破壊されつつあり,それに伴う複屈折ファブリックの発達が観察された。

著者関連情報
© 1997 日本ペドロジー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top