ペドロジスト
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九州南部に分布する古赤色土の上・下位に存在するテフラの同定・対比
赤木 功井上 弦高木 浩長友 由隆
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2002 年 46 巻 1 号 p. 2-13

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抄録

九州南部の宮崎平野,出水平野および種子島地域に分布する古赤色土の上・下位に存在するテフラについて,含まれる強磁性鉱物の化学組成(tFe,Ti,Mn,V,Zn)を明らかにし,それらテフラの同定・対比を行い,古赤色土の生成年代を推定した。1)宮崎平野の東原の断面では,古赤色土I層とII層との間に加久藤テフラ(約34万年前噴出)が,西畦原の断面では,古赤色土の下位の段丘礫層中に阿多鳥浜テフラ(20〜25万年前噴出)が存在した。2)出水平野の小原の断面では,古赤色土の下位の扇状地堆積物中に阿多鳥浜テフラが存在した。3)種子島地域の椿山の断面では,古赤色土の上位に鬼界葛原テフラ(9.0〜9.5万年前噴出)および阿多テフラ(9.5〜11万年前噴出)が存在した。4)以上のテフラの同定結果と前報(赤木ほか,2001)の結果を総合すると,九州南部における古赤色土の生成時期は,加久藤テフラ噴出(34万年前)以前にまでさかのぼり,阿多鳥浜テフラの噴出年代(20〜25万年前)を経て,阿多テフラの噴出前(9.5〜11万年前)まで続いていたと推定された。

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© 2002 日本ペドロジー学会
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