ペドロジスト
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三重県の茶園における非アロフェン質黒ボク土および黄色土の生産力特性
安田 典夫出岡 裕哉中井 信
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2007 年 51 巻 1 号 p. 2-13

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抄録

土壌の変化が著しい茶園土壌について,その土壌生産力特性を明らかにした。1)茶園の多くは山地の緩傾斜地,洪積台地または河岸段丘上の非アロフェン質黒ボク土および黄色土に分布している。2)各地点とも窒素施用量は多く,黒ボク土では黄色土より窒素施用量が多かった。また,収量は黒ボク土,黄色土とも大きな差はなかった。3)三相分布のうち,固相率は黄色土が高く,液相率は黒ボク土が高かった。有効水分は黒ボク土がAp1,Ap2層とも多く,黄色土はとくにAp2層が少なかった。4)pHはいずれの地点もかなり低く,酸性化が進んでいた。全炭素(T-C)および全窒素(T-N)は黒ボク土が黄色土に比べて多かった。陽イオン交換容量(CEC)は全体に高いが,TCと相関が高く,毎年有機物を多く施用した影響と考えられる。土壌調査開始から20年間の変化について,黒ボク土では4巡目にpHが低下し,全窒素(T-N)が3巡目以降にやや増加する傾向がみられた。5)黒ボク土の粘土鉱物は,黄色土に比べて全体的に回折強度が弱く,非晶質成分の存在が示唆された。一方,黄色土の粘土鉱物は,黒ボク土に比して回折強度が高く,結晶性粘土鉱物が主体であることが明らかであった。

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© 2007 日本ペドロジー学会
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