ペドロジスト
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大垣市金生山と石垣島真栄里に分布する暗赤色土の性状と母材の均一性
藤江 康太郎北川 靖夫齋藤 萬之助豊田 新成瀬 敏郎
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2007 年 51 巻 2 号 p. 56-67

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抄録

石灰岩の不溶性残渣は微量であることから,石灰岩上に生成する暗赤色土の土壌母材が何であるか長年問題とされてきた。本論文では,大垣市金生山および石垣島真栄里に生成する暗赤色土の性状と母材について検討した。金生山および真栄里の石灰岩を1mol L^<-1>酢酸処理した不溶性残渣は,それぞれ6および318gkg^<-1>であった。また,ESR法による酸素空格子信号強度は,両土壌中に含まれる微細石英が風成塵由来であることを示した。さらに,金生山土壌ではアカホヤテフラの影響もみられた。土壌理化学性には石灰岩の影響が認められた。また,粘土鉱物組成には石灰岩や気候条件下での風化作用も現れていた。従って,金生山土壌の母材は均一ではなく,主要母材を風成塵とし,石灰岩の残渣とアカホヤテフラが加わり,暖温帯での土壌生成作用を受けて生成した暗赤色土であると考えられた。また,真栄里土壌も均一の母材からではなく,風成塵と石灰岩がともに主要な母材となり,亜熱帯気候の土壌生成作用を受けて生成した暗赤色土であると考えられた。

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© 2007 日本ペドロジー学会
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