2010 年 54 巻 2 号 p. 73-82
片品村築地地区の扇状地(60ha)に基準断面を設定し,土壌断面形態と理化学性分析結果に基づき農耕地土壌分類第3次改訂版による分類を行うとともに,地形解析により微地形を区分し,5千分の1の精密土壌図を作成した。区分された土壌分類単位の肥沃度について,生成論的観点からの考察を行った。本扇状地は地形的に3区分され,それぞれに特徴的な土壌が対応していた。尾根部では「普通火山放出物未熟土」,谷部では「腐植質火山放出物未熟土」,区画整理などに伴い造成された場所はリン酸吸収係数が大きい「普通黒ボク土」が対応した。本調査によって,基準断面の設定と地形区分を行い,斜面の位置や傾斜角度の違いにより,微地形の推移による土壌生成作用を反映した精密土壌図の作成を行うことが可能であると示唆された。