大分県の久住高原には厚層多腐植質非アロフェン黒ぼく土が見られる(久保寺ら,2009)。その分布範囲や層序の連続性を広域的に調査するため,久住高原の9地点および九重連山北側の飯田高原の1地点で土壌の層序調査と各層位の理化学性分析,ならびに土壌分類を行った。調査した10断面はいずれも地表から34〜100+cmの範囲に土色1.7/1または2/1の黒色土層が連続し,その下位は黒褐色から褐色の土層となった。多くの断面で黒色土層下部またはその下位に段原降下スコリア(ca. 4.8 cal. ka BP噴出)と考えられる風化礫が見られた。久住高原東側の1断面を除く全てで,表層の黒色土層の上部(段原降下スコリアよりも上位)が非アロフェン質黒ぼく層の化学的要件(Si_o<6g kg^<-1>またはAl_p/Al_o≧0.5または交換酸度y_1≧6)を満たした。これらの非アロフェン質土層は酸性と炭素含量がアロフェン質土層と比べて顕著に高く,また炭素含量が多いものほど高い酸度を示した。厚さ25cm以上の非アロフェン質土層を持ち,日本の統一的土壌分類体系第二次案で非アロフェン黒ぼく土に分類される断面は,九重連山南麓の旧小国街道の北(山側)に分布していた。