ペドロジスト
Online ISSN : 2189-7336
Print ISSN : 0031-4064
総説
人工物質の影響を受けた土壌の分類上の取り扱い
-日本の土壌分類体系とSoil Taxonomy及び世界土壌照合基準の比較-
木田 仁廣川東 正幸
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2017 年 61 巻 2 号 p. 82-93

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抄録

近年,人為的影響を強く受けた土壌を分類するための基準が国際的な土壌分類体系に取り入れられてきており,記載項目や記載表現の充実が図られ,新たな土壌大群や主層位名,添え字などが考案されている。しかし,人為的影響を受けた環境下に存在する土壌の分類について各分類体系における土壌生成と「人為」の関係や「人為」の概念が異なるため,人為的影響を受けた土壌分類の位置付けを整理しておく必要がある。そこで,日本の土壌分類体系と国際的な土壌分類体系であるWorld Reference Base for Soil ResourcesとKeys to Soil Taxonomyにおける人為的影響を受けた土壌の分類での位置づけ,土壌分類における「人為」や人工物質の取り扱いについて比較・検討した。その結果,各分類体系内では整合性がとれているが,分類体系間での土壌分類名の正確な対比は困難であり,人為的影響を受けた土壌を議論するうえで分類体系間での互換性がない可能性が指摘できた。当該土壌に対する各分類体系間での名称の互換性や整合性を図るには土壌生成を論議するうえでの「人為」の取り扱いについての国際的な共通認識が形成される必要がある。

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© 2017 日本ペドロジー学会
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