日本に分布する二・三の腐植質アロフェン土についてTIURIN法を応用し,腐植組成をもとめ,若干の考察を行った。1.TIURIN法とPONOMAREVA法の比較実験をおこない,Ch/CfがT法にくらべP法で低い主な原因は,F4をフルボ酸部に加えたためであり,またP法でえられるF_2の値が実際の塩基状況にそぐわない点で問題のあることを指摘した。2.南部北海道の大野,南部関東の千葉,南部九州の神殿原の各腐植質アロフェン土についてTIURIN法を応用し,腐植組成をもとめた。表層のCh/Cfは大野土0.93,千葉土0.8〜1.0,神殿原土1.7〜1.9であり,いずれの土壌も可動性R_2O_3と結合した腐植のしめる割合が多く,下層にむかってフルボ酸部の割合をましている。3.日本の寒冷帯南部および湿潤亜熱帯に分布する腐植質アロフェン土の表層のCh/Cfは,北部本州,南部北海道で0.9〜1.2,南部関東で0.8〜1.0,南部九州で1.4〜1.9であった。これらの値を同一成帯内の赤黄色土の腐植のCh/Cfとくらべ,腐植質アロフェン土の方が高いCh/Cfをしめすことは,腐植質アロフェン土の腐植の生成・性状が赤黄色土とは異っていることをあらわしており,腐植質アロフェン土の成帯内性(Intrazonality)の重要な証拠となっている。4.腐植質アロフェン土の腐植のCh/Cfが湿潤亜熱帯でもっとも高くなり,寒冷帯や熱帯にむかってともに減少するという作業仮説を提案した。