日本歯周病学会会誌
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原著
卵巣摘出ラットにおける下顎骨と歯槽骨のマイクロCTによる3次元構造解析
入江 一元坂倉 康則敦賀 英知細川 洋一郎矢嶋 俊彦
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2004 年 46 巻 4 号 p. 288-293

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抄録

閉経後骨粗鬆症における下顎骨および歯槽骨の変化を解明するために, 卵巣摘出ラットの下顎骨と歯槽骨の3次元的な構造変化を検討した。25週齢雌性ウィスター系ラットに卵巣摘除術 (卵摘群) あるいは, 偽手術 (対照群) を施した。手術後9週で下顎骨を取り出し, マイクロCTを用いて検索した。その結果, 卵摘群の下顎骨では対照群と比べ, 骨量と骨梁幅が有意に低値を示し, 骨梁間距離は有意に高値を示した。第一臼歯根間中隔部の下顎骨を再構築した3次元像でも卵摘群では対照群と比較して下顎骨骨体内部および根間中隔内部の骨量が少なかった。下顎切歯周囲の歯槽骨に注目し, 骨髄に隣接する部分と骨髄に隣接しない部分の歯槽骨で卵摘群と対照群を比較した。骨髄に裏打ちされた部分の歯槽骨幅は卵摘群で有意に減少していたが, 骨髄に隣接しない部分の歯槽骨幅は対照群と変わらなかった。これらの結果は卵巣摘除後の下顎骨の骨量の減少は骨髄に隣接した部位で著明であることを示し, 閉経後の骨粗鬆症において, 下顎骨における骨量の減少は骨内膜表面で起こる可能性が示唆された。

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© 2004 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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