日本歯周病学会会誌
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症例報告
連続して存在する骨欠損にGTRとEMDを同時に応用した1症例
松井 康太郎湯浅 茂平住本 治菜吉田 拓正長野 孝俊新井 高
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キーワード: GTR, EMD, 骨欠損
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2005 年 47 巻 4 号 p. 308-315

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抄録

現在, GTRとEMDは歯周組織再生療法として認知されている。GTRでの再生療法は物理的な遮断膜を用いて再生スペースをつくることである。これに対し, EMDでの再生療法はエナメルマトリックス蛋白質を根面に塗布することである。今回我々は連続して存在する骨欠損に対してGTRとEMDで対応した1症例について報告する。なお, 連続して存在する骨欠損に対してGTRとEMDで対応した臨床報告は見当たらない。
患者は55歳女性で, 上顎右側犬歯から第2小臼歯の歯間部に連続して存在する骨欠損に対してGTRとEMDを同時に応用した。術後4週での膜除去時でのGTRとEMDによる再生組織の臨床的観察では, 再生量はほぼ同等であるが, EMDによる再生組織はGTRと比較すると赤みを帯び, 柔らかかった。レントゲン所見では, GTRは6カ月で, EMDは9カ月で不透過性の亢進が確認された。
今回の症例報告では, 膜撤去時にGTRとEMDによる再生組織を確認できた。さらに, 肉眼的観察において, GTRとEMDの再生組織の表面性状の違いが示された。したがって, GTRとEMDによる歯周組織の治癒過程の生化学的分析による詳細な検討が必要である。

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