日本歯周病学会会誌
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原著
骨シアロタンパク質(BSP)の転写調節に対するCO2レーザーの効果
佐々木 庸子荒木 正大目澤 優Zhitao Wang金子 博寿小方 頼昌
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2008 年 50 巻 3 号 p. 176-184

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抄録

低出力レーザーに細胞や組織の修復促進効果があることが知られている。CO2レーザーは, 治療用レーザーと言うよりもむしろ外科用レーザーであるが, 低エネルギー密度で照射することにより, 何らかの生物学的効果が得られると考えられる。骨シアロタンパク質(BSP)は, アパタイト結晶形成能を有し, 石灰化結合組織特異的に発現する非コラーゲン性タンパク質である。本研究では, 低出力のCO2レーザー照射がBSPの転写に与える影響を, 骨芽細胞様細胞であるUMR106細胞を使用して検索した。UMR106細胞をCO2レーザー(3 W, 20sec)で刺激すると, 12時間後にBSP mRNA量の増加が認められた。ラットBSP遺伝子プロモーター配列を挿入したルシフェラーゼコンストラクトを使用したルシフェラーゼアッセイの結果, 同エネルギーのCO2レーザー刺激により, 12時間後にpLUC4(-425∼+60)の転写活性が増加した。CO2レーザー照射による, pLUC4ルシフェラーゼコンストラクトの転写の上昇は, FGF2応答配列とHOX配列に2塩基対の変異を導入すると抑制された。ゲルシフトアッセイの結果, CO2レーザー照射後に経時的に抽出した核内タンパク質と, 逆方向のCCAAT配列との結合に変化は認められなかったが, 3'-FREとHOX配列と核内タンパク質との結合は, 経時的に減少した。以上の結果から, CO2レーザー照射による骨芽細胞でのBSPの転写調節は, ラットBSPプロモーターに存在するFREとHOX配列を介すると考えられた。

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© 2008 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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