日本歯周病学会会誌
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原著
歯周炎患者に対するインプラント治療の治療成績に関する後ろ向き研究
―骨造成の有無と術式が予後に及ぼす影響について―
難波 智美林 丈一朗石井 麻紀子戸梶 仁聡寺西 麻里奈遠藤 学小川 洋一児島 暁大塚 秀春申 基喆
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2012 年 54 巻 1 号 p. 18-30

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抄録

本研究の目的は,歯周炎患者に対するインプラント治療において,骨造成併用の有無およびその術式が治療成績に及ぼす影響を分析することである。被験者は歯周治療後にインプラント治療が終了した患者 95 名とし,遮蔽膜単独で骨造成を行った TR 群,自家骨移植単独で骨造成を行った ABG 群,遮蔽膜と自家骨移植を併用した TR + ABG 群,および骨造成を必要としなかった None 群の 4 群に分類した。エックス線写真よりインプラント周囲骨吸収量(MBL)を測定し,インプラント 5 年成功率を Kaplan-Meier 法から算出,ログランク検定により比較した。その結果,MBL が 1.5mm 以下を基準とした 5 年成功率は,None 群が 97.50%,ABG 群が 92.86%,TR + ABG 群が 81.55%,TR 群は 76.19%であり,有意な差が認められた(p<0.0001)。年間 MBL は,None 群が 0.30 mm/年,ABG 群が 0.44 mm/年,TR + ABG 群が 0.49 mm/年,TR 群が 0.54 mm/年で有意な差がみられた(p<0.0001)。MBL は骨造成を必要としなかった場合にはわずかな一方,骨造成を行った群では多い傾向がみられた。しかしながら,遮蔽膜を用いて骨造成を行う際には,骨移植を併用することでインプラント周囲骨吸収量が小さくなる傾向が認められた。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)54(1):18-30,2012

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© 2012 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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