日本歯周病学会会誌
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原著
糖尿病患者における歯周病罹患状態と糖尿病合併症との関係
太田 淳也深谷 千絵笠井 俊輔赤松 真也子森川 暁田子森 順子江口 徹税所 芳史河合 俊英伊藤 裕中川 種昭
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2013 年 54 巻 4 号 p. 336-345

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抄録

本研究は糖尿病患者の歯周病罹患状況,ならびにその他の合併症との相互関係を明らかにすることを目的に行われた。被験者は,2010 年 7 月から 2011 年 12 月までに内科に教育入院した 2 型糖尿病患者 105 名(平均年齢 55.4±11.3 歳)とした。評価項目として,現在歯数,プロービングポケットの深さ(PPD),プロービング時の出血(BOP),動揺度を測定した。また,背景因子として年齢・性別・体格指標(BMI)・糖尿病罹患期間・血圧・既往歴,糖尿病合併症に関する評価として網膜症の有無(SDR:単純性網膜症・PPDR:前増殖性網膜症・PDR:増殖性網膜症),腎症の有無,神経障害の有無,動脈硬化性疾患の有無,血液指標を評価し比較検討した。今回の結果から糖尿病合併症である網膜症患者での残存歯数は PDR 患者で他のステージの網膜症患者に比べ有意に少なく(p<0.01 vs SDR, p<0.05 vs PPDR),4〜6 mmPPD 率や 7mm以上 PPD 率では SDR<PPDR<PDR と PPD が深い部位の割合が高くなる傾向を示しているため,網膜症の進行が歯周病の病態悪化になんらかの関与をしている可能性が考えられる。重度の歯周病(最大ポケット深さ 7 mm 以上)を有する患者の割合は腎症以外で有意に高く,糖尿病合併症の有無と歯周病の進行度には相関があることが示された。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)54(4):336-345, 2012

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© 2013 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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