日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
原著
歯科初診患者の歯周病重症度と口腔関連QOLの関連性
横谷 亜希子, 松山 美和, 中居 伸行
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 61 巻 4 号 p. 168-177

詳細
要旨

従来,歯周病重症度の診断や治療のアウトカムは,プロービングデプスなどの生物医学的データにより客観評価されてきたが,近年,医療において生活の質に焦点を当てた臨床・研究の重要性が高まりつつある。そのため,本研究では歯周病の重症度と初診患者の口腔関連QOLとの関連性を明確にすることを目的とした。2014年11月~2017年7月までのなかい歯科の初診患者のうち,30~64歳の者を対象として,カルテおよびサブカルテから基本情報を抽出した。歯周病の重症度は初診時の歯周基本検査の結果をCPIに変換し,4群(C,P1,P2,P3)に分類した。同じく初診時に調査したOral Health Impact Profile Short Version(以後,OHIP-14)を用いて口腔関連QOLを評価した。OHIP-14の合計スコアおよび7つのサブドメインスコアを算出し,歯周病重症度の異なる4群を比較した。OHIP-14の合計スコアと「機能的問題」にはP1-P3間とP2-P3間に有意差が認められ,「不快感」についてP1-P3間に有意差が認められ,P3群が有意に高かった。本研究より,今回検討した歯科医院の初診患者において,歯周病の重症度と口腔関連QOLには関連性が認められ,歯周病が重症の患者ほど主観的に口腔機能が低下し,不快感が増加し,QOLが低くなることが示唆された。

緒言

2014年度の厚生労働省の「患者調査」によると,歯周病の総患者数は331万5,000人と報告されている1)。また,2016年の歯科疾患実態調査ではCPI 2)コード3-4保有者の割合は55歳から64歳では50%以上である3)。一方,10~70歳代の1万人を対象とした2016年度の日本歯科医師会の調査によると,“この1年以内に歯科検診を受けている人の割合”は49.0%である4)。健康日本21で設定されている歯科検診受診率の目標値は65%であり,歯周病の有病率を考慮しても,受診勧奨をはじめ歯科保健指導による啓発や予防に対する国民の認識や意識の高揚は喫緊の課題である。国民の健康意識を高揚するためにも,歯周病が口腔の健康のQOLにどのように影響するかを明確にすることは重要だと考えられる。

このQOLは,身体的状況ばかりでなく,機能状態や心理状態,さらには社会性も含めた多次元にわたるものであり,しかも患者の個別的な要素に強く影響される。従来,歯周病重症度の診断や把握や治療のアウトカムは,プロービングデプスや臨床的アタッチメントレベルなどの生物医学的データにより客観評価されてきた。しかし,近年ではこれらのアウトカムに加えて,医療において生活の質(Quality of Life:QOL)に焦点を当てた患者評価とその臨床および研究の重要性が高まりつつある。口腔保健の分野でも,1990年代以降にいくつかの口腔保健関連指標(Oral Health-related QOL)が提案されてきた。これらの構成要素は,①咀嚼・発話などの構成的要素,②審美性やself-esteemに関わる心理的要素,③コミュニケーション,社会的活動などの社会的要素,および④疼痛や不快症状の要素にまとめることができる5)。

歯周病の重症度と口腔関連QOLとの関連性はMeuselら6)やFerreiraら7)やMasoodら8),Sulaimanら9)により報告されている。また,歯周病既往歴と口腔関連QOLとの関連性についても,Janssonらにより報告されている10)。さらに,歯周病の治療の効果と口腔関連QOLについても,Brauchleら11)やMakinoら12)が報告している。これらによると,歯周病の重症度は口腔関連QOLに関連していると考えられる。

日本においてはYamaneら13)が口腔関連QOLと臨床症状,DMFT(Decayed,Missing,Filled Teeth)などの関連性について報告しているが,対象が大学生のため重度の歯周病に罹患した者(Community Periodontal Index:CPIコード4該当者)が0.2%と極めて少なく,最終的に調査から歯周病を除外している。また,歯周治療前後の口腔関連QOLの比較を行った研究にSaitoら14)の報告があるが,20~72歳を対象年齢としており,歯周病の好発年齢層の日本人を対象とした歯周病の程度と口腔関連QOLの関連性を検証した研究はまだない。

そこで,仮説として歯周病が重症の患者ほど口腔関連QOLは低いと考え,本研究は歯周病の好発年齢層の歯科初診患者を対象に,歯周病重症度と口腔関連QOLの関係を明確にすることを目的とした。

対象および方法

1. 対象

なかい歯科(京都市中京区)の2014年11月から2017年7月までの初診患者のうち,30~64歳の者で次の包含基準に該当し,除外基準に該当しない者191名を対象とした。

1) 包含基準

●現在歯数20歯以上の者(但し,完全萌出智歯は含めるが,残根は含めない)

●可撤性義歯を使用していない者

●初診時にOHIP-14の調査を行い,質問紙の記入がすべて満たされている者

●初診時に通常診療として歯周基本検査を行った者

2) 除外基準

●全身疾患(糖尿病,心疾患,がん,脳血管障害)を伴う者

●妊婦・授乳中の者

●精神障害または精神障害に関する薬剤を使用している者

●人工透析を受けている者

●う蝕,歯髄炎,歯根膜炎,智歯周囲炎による強い疼痛がある者(ただし,歯周病による急性症状を伴うものは含める)

●その他,研究実施者が不適と判断した者

2. 方法

1) データの抽出

対象者の基本情報として,年齢,性別,全身疾患,主訴,現在歯数,う蝕歯数,痛みの有無についてカルテから抽出した。

なお,研究上必要のない患者氏名,患者ID,生年月日などの個人情報については抽出せず,抽出データは個人情報とは無関係の記号を付して管理し,その番号を使用することで,個人が特定できないように匿名化した。

2) 歯周病重症度の分類

本研究では,歯周病重症度の分類にCPIを使用した。CPIとはCommunity Periodontal Indexの略で,地域歯周疾患指数である。1997年にWHOが作成し,集団の歯周病の罹患状態の評価を簡便に調査でき,再現性が高いというメリットがあるため,歯周病の地域保険対策に適しているとされ,日本においても歯科疾患実態調査などで用いられ,歯周病に関する指数のひとつである。初診時に撮影した口腔内写真と歯周基本検査の結果をもとに,CPIコードの値に変換し,対象者を以下の4群に分類した。コード0(歯周病なし)をC群,コード1(歯肉出血あり)と2(歯石付着)をP1群,コード3(浅いポケット,4~6 mm未満)をP2群,コード4(深いポケット,6 mm以上)をP3群とした。

なお,歯周病の診断は学会のガイドライン15)に従って,歯周組織検査(Bleeding on probing:BOPや歯周ポケット深さ,歯の動揺度,X線写真,口腔内写真)を基に,歯肉の炎症と骨吸収の程度を評価して,2名の歯科医師が診断した。

3) 口腔関連QOLの評価

本院では初診時に日常診療としてOHIP-14(日本語版もしくは英語版)の調査を行うが,口腔関連QOLはこのOHIP-14の回答をサブカルテから抽出して評価した(図1)。OHIP-4916)とはOral Health Impact Profileの略で,オーストラリアで開発され,国際的に使用される口腔関連QOLの評価法である。OHIP-1417)は,OHIP-49の短縮版であり,7項目:機能的な問題,痛み,不快感,身体的困りごと,心理的困りごと,社会的困りごと,ハンディキャップについて,各項目2つの質問で構成されている。回答は,“全くない”が0,“ほとんどない”が1,“時々ある”が2,“よくある”が3,“いつも”が4に点数化され,点数が高いほど口腔関連QOLが低いと評価される。QOLが最も低いとされるスコアが56,QOLが最も高いとされるスコアが0点である。

本研究では全14問の回答の合計を「合計スコア」,7項目の各2問の回答の合計を「サブドメインスコア」として算出し,歯周病の重症度が異なる4群間の比較を行った。

図1

OHIP-14質問紙

3. 解析方法

1) 対象者基本情報4群間比較

年齢,性別,現在歯数,う蝕歯数(0本,1~5本,6~10本,11~15本),痛みの有無(なし,我慢できるが気になる,たまに気になる)の各パラメータについて,歯周病重症度の異なるC,P1,P2,P3の4群間比較を行った。年齢と現在歯数は各データの正規性を確認した後,Kruskal-Wallis検定を用いて,性別とう蝕歯数,痛みの有無はχ2検定を用いて統計解析した。

2) OHIP-14スコアの4群間比較

OHIP-14の合計スコアと7項目のサブドメインスコアについて,Kruskal-Wallis検定を用いて4群間比較を行った。有意差が確認された場合は,その後,Bonferroni検定を用いて多重比較を行った。

なお,統計解析にはIBM SPSS Ver21(日本IBM,東京)を使用し,有意水準は5%未満とした。

4. 倫理的配慮

本研究は,徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した(承認番号2885)。後向き研究であるため,説明文書及び同意書の代わりに,本研究に関する情報公開文書を徳島大学歯学部の松山教授室前となかい歯科1階患者待合室に掲示し,オプトアウトを行なった。

結果

1. 対象者の基本情報

対象者191名の基本情報を表1,主訴を図2に示す。平均年齢には有意差が認められ,多重比較の結果,P3群がP1群に比べて有意に年齢が高かった(p=0.014)。一方,性別構成には4群間に有意差は認められなかった。

同じく,各群の対象者の口腔内状況を表1に示す。対象者の現在歯数,う蝕歯数,痛みの有無,いずれにも4群間に有意差は認められなかった。

表1

対象者の基本属性

図2

対象者の主訴分類

2. OHIP-14スコアの4群間比較

OHIP-14合計スコアの4群間比較の結果を図3に示す(p=0.023)。多重比較検定(Bonferroni法)の結果,P3群はP1群,P2群と比べてOHIP-14合計スコアが有意に高かった(p=0.049,p=0.048)。

7項目のサブドメインスコアの4群間比較では,「機能的問題」と「不快感」の2項目に有意差が認められた。多重比較検定(Bonferroni法)の結果,「機能的問題」ではP3群がP1群,P2群に比べて(p=0.001,p=0.001),「不快感」ではP3群がP1群に比べて有意に高かった(p=0.05)(図4, 5)。一方,その他の5項目のサブドメインスコア:痛み(p=0.165),身体的困りごと(p=0.105),心理的困りごと(p=0.702),社会的困りごと(p=0.685),ハンディキャップ(p=0.195)には,4群間に有意差は認められなかった(表2)。

図3

OHIP-14「合計スコア」の4群間比較

ボックスは四分位範囲,ボックス内の線は中央値,エラーバーは外れ値以外の最小値と最大値,○は外れ値を示す。

図4

「機能的問題」のサブドメインスコアの4群間比較

ボックスは四分位範囲,ボックス内の線は中央値,エラーバーは外れ値以外の最小値と最大値,○は外れ値を示す。

図5

「不快感」のサブドメインスコアの4群間比較

ボックスは四分位範囲,ボックス内の線は中央値,エラーバーは外れ値以外の最小値と最大値,○は外れ値を示す。

表2

OHIP-14合計スコアと7つのサブドメインスコア

考察

本研究は歯周病の好発年齢と考えられる患者を対象に,日本の一般歯科医院の初診患者における歯周病重症度と口腔関連QOLの関連性について調査した横断研究である。本研究における重要な所見は,P1群とP2群と比較してP3群はOHIP-14の合計スコアが有意に高かったという結果であり,この結果から,歯周病が重度な患者は軽度な患者と比較して口腔関連QOLが低いことが示唆され,これはいくつかの先行研究6-12),14)の結果と一致した。これらの多くは国外で行われた研究6-11)であり,Meuselら6)は30~58歳を,Ferreiraら7)は15歳~89歳を,Janssonら10)は20~79歳を,Braucheら11)は27~74歳を,Makinoら12)は23歳から74歳を,Saitoら14)は20~72歳を対象としている。本研究の対象年齢は30~64歳であり,Meuselら6)の対象と類似している。

本研究では対象者の基本情報の多重比較の結果,P3群がP1群に比べて有意に年齢が高かった。これはJanssonらの報告10)と同様であり,年齢が高いほど歯周病が重度になる傾向があると考えられた1)。

1. 口腔関連QOLの評価

本研究では口腔関連QOLの評価としてOHIP-1417)を採用した。これはOHIP-49の短縮版であり,OHIP-49は日本でも2002年に翻訳され16),日本での使用の妥当性18-20)が確認されている。一方,OHIP-49は無駄に多くの項目を調査している可能性があるとも考えられている21)。Sladeら17)によればOHIP-14はOHIP-49と比較しても信頼性,妥当性および精度は良いと報告されている。そのため,口腔関連QOLの評価法にはOHIP-49の他にOral Health-related Quality of Life(OHRQL)22)やGeneral Oral Health Assessment Index(GOHAI)23)などもあるが,簡便で一定の信頼性と妥当性のあるOHIP-14を採用した。

歯周病重症度と口腔関連QOLの関連性についての報告は国外で行われた研究が多いが,日本人を対象とした研究には,歯周基本治療前後での口腔関連QOLの比較を行なったSaitoら14)の報告がある。この報告によると,歯周病に罹患している人は,歯周組織が健康な人より,「食事・咀嚼」「社会的機能」「心理的機能」のサブドメインスコアが有意に高いという結果であった。本研究ではサブドメインの「心理的困りごと」には有意差が認められず,これはSaitoら14)の結果と異なる。この相違の要因の一つとして,口腔関連QOLの評価法の相違が影響している可能性が考えられる。Saitoらの研究ではQOL評価にOHRQL22)を使用しており,この評価法でのサブドメイン「心理的機能」の質問は4題であり,“歯や入れ歯,口の問題のために 1)恥ずかしい思いをすることがありますか,2)見た目が悪いと感じることがありますか,3)気分が落ち込むことがありますか,4)いろいろと気をつかい,リラックスできないことがありますか”であり,OHIP-14(図1)よりも質問数が多く,より具体的な質問内容で構成されている。一方,OHIP-14は各項目の質問数が2問と少ないため,回答の多くが低いスコアに集中してしまう床効果のような一面もあると報告されていて24),本研究でも実際に,4群ともに中央値は0であった。また,Saitoら14)の研究では除外基準として口腔の疾患に罹患しているものや,う蝕があるもののみ除外しているが,本研究では除外基準で示した「全身疾患」,「精神疾患」,「可撤性義歯を使用している者」に罹患しているものは対象者から除外している。そのため,「心理的困りごと」と歯周病重症度との関連が認められなかった可能性があると考えられる。

2. 歯周病重症度の評価

本研究では,歯周病重症度の分類にCPIを使用した。Janssonら10)の研究では,歯周病重症度は骨吸収量で3群に分類され,重症度が高いものからBL+:歯根長の1/3以上の骨吸収を有するが30%以上,BL:歯根長の1/3以上の骨吸収を有するが30%未満,BL−:歯根長の1/3未満と分類し,各群の標本数もBL+が49,BLが90,BL−が304と本研究よりも2倍以上多い。また本研究とは対照的に,歯周病の重症度が軽度なBL−が多い。本研究では歯周病重症度が軽度な者より,重度な者の方が「機能的問題」と「不快感」の2項目のサブドメインスコアは有意に高かった。それに対し,Janssonら10)の研究では「痛み」を除く6項目のサブドメインスコアは,歯周病重症度が軽度な者より,重度な者の方が高かった。これら二つの研究結果が異なる要因の一つには,前述のような対象者の歯周病重症度の分布の相違が考えられる。歯周病重症度の分類には他にも多くの評価方法があり,より詳細に歯周病重症度を評価するならば,Janssonら10)のようにX線による骨吸収量や全歯周組織検査の結果を使用する方法や,Meusel6)らのようにProbing pocket depth:PPDやBOPやClinical attachment level:CALを用いる方法もある。しかし,Ferreiraら7)のレビューによると,歯周病の評価方法として32論文中,最も多い13論文に使用されていたのがCPIであった。そのため本研究でも,当院で初診時に実施する歯周組織検査を基に評価可能で,国際標準的,かつ簡便な分類法であるCPIを歯周病重症度の分類として採用した。

本研究の群間比較において,歯周病が認められるP1~P3群と対照である歯周病がないC群にはいずれも有意差は認められなかったが,これはC群の対象者が9例であり,他の群に比べて少なかったことが統計結果に影響した可能性が考えられる。そして,C群の対象者が少なかったのは,本研究では歯周病好発年齢である30~64歳を対象としたためと考えられる。

3. 歯周病重症度と口腔関連QOLの関連性

本研究では,OHIP-14の合計スコア以外に「機能的問題」と「不快感」の2項目のサブドメインスコアに有意差が認められたが,Janssonら10)は,7項目中,痛み以外の6項目のサブドメインスコアに有意差が認められたと報告している。結果が異なった理由としては,対象者層の相違と歯周病重症度の分類法の相違が考えられる。本研究の対象者は一般歯科医院の歯科初診患者であるのに対し,Janssonら10)の対象者は,スウェーデン南部Skaneの20~89歳の居住者の中から無作為に抽出した1,000名の中で,研究対象の基準に該当し,研究の同意を得られた443名である10)。この対象者の平均年齢は48.7歳で,歯周病の重症度が高いBL+群の平均年齢は64.4歳であった10)。本研究において歯周病重症度が最も高いP3群の平均年齢は46.2歳であり,BL+群の平均年齢とは大きく異なる。本研究では30~64歳を対象としたため,とくに歯周病重症者の年齢層が異なったと考えられる。

本研究でもJanssonら10)の報告と同じく,歯周病が重度の群が軽度の群より,OHIP-14の合計スコアが有意に高かった。これは,本研究では主に機能的問題の値に影響を受けたと考える(表2,図4)。Taniaら2)は歯周組織の喪失は咀嚼機能およびQOLに悪影響を与えると報告している。そのため,口腔関連QOLの向上を考えると機能的問題も重視すべきで,今後,歯周治療において歯周組織検査だけではなく,咀嚼機能などの口腔機能の評価も加えるべきと考える。

4. 本研究の限界と今後の展望

本研究では,口腔関連QOLの評価に,OHIP-49の短縮版であるOHIP-14を採用した。OHIP-14は簡便で臨床の場でも使いやすく,国際的に使用される口腔関連QOLの評価法で,日本でも妥当性が確認されている26)。しかし,前述の通り,サブドメインの各項目は2つという少ない質問数で構成されている。本研究でも歯周病重症度が最も重度であるP3群のサブドメインスコアは7項目中3項目が中央値0であったように,歯周病が重度であっても,サブドメインスコアは低いスコアに集中すると考えられる。今後は,他の評価法を用いて,評価法の違いによる結果への影響を確認したい。

本研究では歯周病重症度と口腔関連QOLとの関連性を解析し,歯周病が重症の患者ほど口腔関連QOLが低い可能性が示された。また,口腔関連QOLと身体面,精神面のQOLとの有意な関連性も報告されている27)。歯周病が重度であると口腔関連QOLが低くなり,身体面,精神面のQOLも低くなるということを,歯科保健指導として患者の健康意識向上に役立てたい。

本研究では歯周病重症度の分類にCPIを使用したが,歯周病の診断には一般的にPDやBOPやCAL,骨吸収量などから評価される。今後は,これらの詳細データから評価した歯周病重症度とQOLとの関連性の確認も必要と考えられる。

本研究では,歯周病重症度の異なる4群間には合計スコアと,「機能的問題」と「不快感」の2つのサブドメインスコアに有意差が認められた。これは,本研究の対象者が一般歯科医院の歯科初診患者で,歯周病だけでなく別の主訴があり,その主訴に対応する「困りごと」によりQOLが低下しているという特性があること,歯周病は比較的無症状のまま,進行する症例が多いという一面を持つことが要因として考えられる。そのため,歯科保健指導における歯周基本治療の動機付けとして,患者に歯周病と口腔関連QOLの関連性について説明するなど臨床に活かすためには,歯周治療が口腔関連QOLの改善にいかに影響するかなど,さらなる研究に発展させたいと考える。

結論

30~64歳の一般歯科医院初診患者191名を対象とした後ろ向き調査研究の結果,歯周病重症度と口腔関連QOLには関連性が認められ,歯周病が重症の患者ほど口腔機能の主観的な低下や不快感の増加がみられ,口腔関連QOLが低い可能性が示された。

謝辞

本研究を遂行し,稿を終えるにあたり,御高閲,御助言を頂きました徳島大学医歯薬学研究部の湯本浩通教授,尾崎和美教授,馬場麻人教授に厚くお礼申し上げます。また,本研究にご理解,ご協力をいただきましたなかい歯科のスタッフの皆様に深謝申し上げます。

本研究の要旨は,第61回春季日本歯周病学会学術大会(2018年6月2日)において発表した。

今回の論文に関連して,開示すべき利益相反状態はありません。

References
 
© 2019 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
feedback
Top