日本歯周病学会会誌
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ミニレビュー
終末糖化産物が歯周病の病態に及ぼす影響を再考する
坂本 英次郎岩下 未咲吉村 篤利
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2026 年 68 巻 1 号 p. 1-8

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はじめに

歯周病は歯周病原細菌の感染を初発因子とする慢性炎症性疾患であり,歯周組織の炎症,破壊を招き,最終的に歯の動揺および脱落に至る。我が国においては,現存歯数の増加に伴い4 mm以上の歯周ポケットを有する者の割合も増加傾向が認められ,特に75歳以上の高齢者においてその傾向が強い1)。患者の高齢化に伴う問題の1つが,基礎疾患を持つ患者が増えることにより,治療が制限されたり病態が複雑化したりすることである。歯周病と全身疾患との関わりについては,1990年代に「ペリオドンタルメディシン」という言葉が生まれ,様々な方面から研究が行われてきた。特に糖尿病は最も歯周病と関連の深い疾患の1つとして知られており,糖尿病患者では歯周病が進行しやすく,また歯周病患者では血糖コントロールが悪化しやすい「双方向性」の関係を持つことが様々な調査により明らかとなっている2)。これらのことから,歯周病は糖尿病合併症・併存疾患の1つとして認識されるようになり,臨床においては医師と歯科医師が連携して治療を行うことが重要となる。

糖尿病による歯周病増悪メカニズムについては,まず高血糖状態における免疫細胞の機能異常,歯周組織を構成する細胞の恒常性の破綻,そして細菌感染およびタンパク分解酵素により破壊された組織の治癒不全が大きな影響を与えると考えられている3)。これらの影響が細菌感染と免疫応答によって引き起こされる歯周組織の破壊に複雑に関与し,歯周病の悪化に寄与している。一方で,糖尿病合併症における研究では終末糖化産物(advanced glycation end-products:AGEs)の影響が広く知られ,様々な方面からAGEsが糖尿病合併症の発症,進展に関わるメカニズムが明らかとなってきている4)。歯周病においてもAGEsがその悪化に影響を与えているものと考えられており,AGEsが歯周組織に及ぼす影響を明らかにすることは,糖尿病患者における歯周病予防および治療法の確立につながる可能性がある。

本稿では,糖尿病,特にAGEsが歯周病の病態にどのように影響を及ぼすか,最近の研究の潮流を我々の知見を含めてまとめてみたい。

1. 終末糖化産物(AGEs)と糖尿病合併症・併存疾患

糖尿病は,高血糖を主たる症状とする代謝性疾患で,WHOの分類では1型糖尿病(インスリン依存型)と2型糖尿病(インスリン非依存型)に分類される。1型糖尿病の病態は膵臓のβ細胞に対する自己免疫と,それによる膵β細胞の破壊ならびにインスリンの絶対的欠乏にある。対する2型糖尿病は,インスリンの分泌低下やインスリン抵抗性の増加によるインスリン作用不足が発症機序である5)。令和5年国民健康・栄養調査によると,我が国における「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性16.8%,女性8.9%であり,過去10年間では大きな増減は無いとされるものの,罹患率の高い疾患であることは明らかである6)。1型,2型に関わらず,糖尿病は種々の合併症を引き起こすことが知られている(糖尿病合併症)。糖尿病に特徴的な細小血管合併症として,特に糖尿病網膜症,糖尿病腎症,糖尿病神経障害がよく知られている。その他の合併症として動脈硬化による脳卒中,心筋梗塞などがある。また,歯周病を含む感染症,および認知症などが併存疾患として知られている7)。これら糖尿病合併症および併存疾患の発症・増悪因子の1つとして,AGEsの存在が注目されてきた8)

1に示すように,グルコースを始めとする還元糖は,非酵素的にタンパク質と結合し,シッフ基,アマドリ化合物,そしてAGEsを形成する9)。これら一連の非酵素的反応はメイラード反応と呼ばれ,1912年に報告されて以来広く知られている。中間産物であるアマドリ化合物には,糖尿病の重要な臨床マーカーとして活用されているヘモグロビンA1c(HbA1c)が含まれるが,HbA1cは糖化したヘモグロビンの割合を示している10)。重要な点は,アマドリ化合物への前期~中期糖化反応は可逆的であるが,AGEsが生成される後期糖化反応は不可逆的であるということである。すなわち,AGEsは分解されることなく局所または血液循環中に蓄積していくこととなる。体内でAGEsが生成されるには長い期間が必要となるため,糖は細胞骨格を構成するタンパクや,細胞外基質タンパクのような長期間構造が変化しないタンパク質と結合することとなる。これらのタンパク質にはコラーゲンやミエリン,チューブリン,フィブリノーゲンなどが含まれる11)。一方,糖の種類によってもメイラード反応に違いがあることが知られており,例えば,グルコース6リン酸のような中間代謝産物やフルクトースはAGEsの生成速度が早く,逆にグルコースはAGEsの生成速度が遅い12)。このように結合する糖の種類とタンパク質の組み合わせ,そして糖化反応経路の違いによって,体内で生成されるAGEsは19種類が同定されており,カルボキシメチルリジンやペントシジンは最もその作用や影響が研究されている13)。特にペントシジンは腎臓内科の分野において,腎機能を評価する指標として血液中のペントシジン測定が保険適用されるなど,臨床への応用も行われている。

AGEsの生成および蓄積により,組織は正常な機能が阻害される。この直接的なメカニズムの他,AGEsを認識する受容体と細胞応答を介したメカニズムにより糖尿病合併症の発症・進行に関わると考えられている。AGEsの受容体としてマクロファージスカベンジャー受容体IおよびII(MSR1,MSR2),receptor for AGE(RAGE),ガレクチン3などが知られている14)。これらのうちRAGEはAGEsの他,S100タンパクやhigh mobility group box1(HMGB1),アミロイドβなどの受容体としても知られ15,16),神経組織,腎臓,肺など幅広い臓器において発現が認められる17)。すなわち,糖尿病患者の血管,網膜,腎臓や末梢神経組織にAGEsが蓄積し,これらの細胞表面にRAGEの発現が亢進することによってAGEs-RAGE結合によるシグナル伝達が促進される。このシグナル伝達は酸化ストレスや炎症反応を誘導し,機能障害を招き,その結果糖尿病合併症の発症,増悪化につながると考えられている18,19)。糖尿病患者の歯周組織局所においてもAGEsが蓄積しており,健常者と比較し糖尿病患者では歯肉組織中のAGEsレベルが高いことが報告されている20)。また,唾液中や歯肉溝滲出液においてもAGEsが検出されることが分かっており,糖尿病患者では有意に濃度が高い21)。さらに糖尿病状態では口腔上皮細胞や線維芽細胞におけるRAGE発現が亢進するため22,23),歯周組織においてもAGEs-RAGE相互作用が活性化し,他の糖尿病合併症と同様に歯周病の発症・増悪に深く関与している。

図1

終末糖化産物(AGEs)の生成経路とAGEsの生物学的影響

2. 終末糖化産物と歯周病との関連

AGEsはメイラード反応により生成される物質の総称であり,すべての種類のAGEsを一度に検出することは困難である。したがって,例えばカルボキシメチルリジンやペントシジンはenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)で定量することができるが24,25),AGEsの種類によっては高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーおよび質量分析が必要である26)。また,いくつかの種類のAGEsは蛍光を有するという特性を利用し,経皮的にAGEs量を測定することができるAGE Reader(DiagnOptics社,オランダ)という製品も開発,市販されている。これらの測定法を用いてAGEs量を評価し,糖尿病合併症における臨床パラメーターとの関連を検討する臨床研究が行われてきた。例えば,Yingらは糖尿病患者の皮膚におけるAGEsを測定し,その値が腎機能のパラメーターと相関することを示している27)。また,血清中のAGEs濃度はコントロール不良の2型糖尿病患者における心血管イベントの発生リスクと関連することも報告されている28)

これらの報告と同様に,近年では歯周病においてもAGEs量と歯周病の重症度との関連について研究が行われている。94名の被験者を対象に行われた臨床研究では,2型糖尿病・歯周病罹患グループ(n=32),全身的健常・歯周病罹患グループ(n=31),全身的健常・歯周病非罹患グループ(n=31)の3グループに分け,歯周病の検査に加え歯肉溝滲出液中のAGEs濃度をELISAで測定した。その結果,糖尿病・歯周病罹患グループでは全身的健常・歯周病罹患グループと比較し,プロービング深さ,プロービング時の出血(BOP)の割合,クリニカルアタッチメントロスが有意に高値を示した。それと連動するように,歯肉溝滲出液中のAGEs濃度は,糖尿病・歯周病罹患グループでは521.9 pg/mLであり,全身的健常・歯周病罹患グループの234.84 pg/mLよりも,有意に高かった。また,歯周病の罹患により歯肉溝滲出液中のAGEs濃度が上昇することも示唆されているが(全身的健常・非歯周病罹患グループ:87.2 pg/mL),そのメカニズムは未だ明らかにされていない29)。また,98名の被験者を対象に行われた2025年の研究では,歯周病の臨床パラメーターと唾液中のAGEs濃度との関連について検討が行われた。被験者は糖尿病の有無またはコントロール状態,歯周病の状態によりコントロール不良の2型糖尿病・歯周病罹患グループ(n=27),コントロール良好の2型糖尿病・歯周病罹患グループ(n=33),全身的健常・歯周病罹患グループ(n=18),全身的健常・歯周病非罹患グループ(n=20)の4群に分けられた。この研究においても,コントロール不良の糖尿病・歯周病罹患グループではプロービング深さ,BOP,クリニカルアタッチメントレベル,欠損歯数,PISAがコントロール良好の糖尿病または全身的に健常グループと比較し,有意に高値を示した。同時に唾液中のAGEs濃度も糖尿病罹患グループでは有意に上昇していた。重要なことに,本研究では可溶性RAGE(sRAGE:soluble RAGE)の濃度も測定され,糖尿病患者ではその値が有意に低いことが示された30)。sRAGEは細胞から分泌されたAGEs受容体であり,AGEsと結合するが細胞内シグナルを伝達することはない,つまりAGEsのトラップ機能を持つ防御因子である31)。コントロールされていない糖尿病患者では,AGEsに対する防御機能も低下していることを示唆している。

このように,糖尿病に罹患した歯周病患者では歯周病パラメーターの悪化に加え,AGEs濃度の上昇が見られる。AGEsは様々な糖尿病合併症の病態と相関関係が示されているが,歯周病の増悪においても重要な影響を及ぼしていると考えられる。

3. 終末糖化産物が歯周組織に及ぼす影響

糖尿病患者の歯周組織では,健常な患者の歯周組織と比較しAGEsが高濃度で検出されることが知られている32)。局所に蓄積したAGEsはRAGEに結合し,その下流シグナルを活性化する。活性化されるシグナルにはmitogen-activated protein kinase(MAPK)や,Rho-Guanine nucleotide-binding proteins(Rho-GTPases),nuclear factor kappa-light-chain enhancer of activated B cells(NF-κB)などがある。これらのシグナル経路の活性化を経て,AGEsは細胞の酸化ストレスの亢進,炎症性サイトカインの発現を誘導する33)。例えば,ヒト歯肉線維芽細胞株CRL-2014にAGEsを作用させると,細胞内の活性酸素量が有意に増加し,インターロイキン6(IL-6)がmRNAおよびタンパクレベルで発現上昇する。また同時に好中球などの免疫細胞の遊走に関わるintercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)の発現も上昇するため,歯肉局所における炎症反応の亢進に重要な役割を果たしていると考えられる22)

これら炎症反応に対する影響に加え,近年AGEsは生体の防御反応に影響を与えることが明らかになってきた。その1例として,ヒト歯肉上皮細胞株epi 4をAGEsの1つであるカルボキシメチルリジンを添加した培地で培養すると,タイトジャンクション形成に関与する因子であるclaudin-1のmRNAレベルが減少する34)。この作用は他の種類のAGEsでも確認されており,Takedaらは,ヒト上皮細胞株Caco-2にグリセルアルデヒド由来AGEを添加し培養したところ,上皮細胞のタイトジャンクション形成に関与するタンパク質であるZO-1およびclaudin-7の発現が減少することを報告している35)。上皮細胞のタイトジャンクションは細胞間の結合を強固にし,体外からの細菌侵入を防ぐ物理的なバリアーとして働くため,その機能が抑制されることは細菌による感染に対して脆弱化することに繋がる。さらに我々の研究グループは,培養ヒト口腔上皮細胞株TR146およびCa9-22にAGEsが作用すると,炎症の調節や抗菌作用など,多様な役割を持つ分泌型糖蛋白であるリポカリン2発現が有意に上昇することを示した。この作用にはRAGEを介したシグナル伝達経路が深く関わっており,siRNAの導入によってRAGEをノックダウンすると,リポカリン2の発現上昇効果は有意に抑制された。また,AGEsはヒト口腔上皮細胞株におけるp38-MAPKおよびextracellular signal-regulated kinase(ERK)1/2のリン酸化を誘導し,これらのシグナル分子に対する特異的阻害剤を培養系に添加すると,リポカリン2の発現は抑制された36)。この結果を踏まえ,遺伝的に2型糖尿病を発症するマウス,db/dbマウス(BKS.Cg-+Leprdb/+Leprdb/Jcl)を用いてin vivo実験を行ったところ,糖尿病マウスの歯肉組織ではリポカリン2の遺伝子発現が有意に上昇していた。これらのマウスでは血中のカルボキシメチルリジンの濃度が有意に上昇しており,興味深いことに歯肉組織中のリポカリン2発現と血中カルボキシメチルリジンの量は強い正の相関を示した(R2= 0.5049,p= 0.0482)(図2)。リポカリン2は好中球から分泌されるneutrophil extracellular traps(NETs)に高濃度で含まれ,抗菌的作用を担うことから37),AGEsは上皮細胞が分泌するリポカリン2の発現を介して抗菌作用に対し影響を与えていると考えられる。

AGEsは骨組織の強度や骨代謝の恒常性にも大きな影響を与える。骨組織中の主なタンパク質成分は1型コラーゲンであり,1型コラーゲンが糖化すると架橋構造が変化し,AGEsとなり骨の脆弱化を招く。特に骨組織における代表的なAGEsの1つであるペントシジンは,骨密度の低下や骨折リスクの増加に深く関係していることが数々の臨床研究で示されている38,39)。また,ストレプトゾトシンを投与し膵臓β細胞を破壊した糖尿病モデルラットにおいても,ペントシジン濃度が増加すると同時に,骨の機械的性質は低下し脆弱化することが明らかとなっている40)。このようにAGEsの骨組織への蓄積は,構造変化による機械的強度の低下を招くとともに,骨芽細胞や骨細胞に発現するRAGEに結合し,骨代謝に影響を与える。例えば,マウス間葉系幹細胞株ST2にAGEsを作用させると,骨芽細胞分化マーカーの1つであるアルカリホスファターゼ活性を抑制し,石灰化形成を抑制する41)。また,骨芽細胞から分化する骨細胞は,骨芽細胞の分化抑制因子であるスクレロスチン(遺伝子名:Sost)を分泌し骨芽細胞の石灰化をコントロールするが,マウス骨細胞株MLO-Y4-A2をAGEsと培養すると,transforming growth factor(TGF)-βの発現を介しスクレロスチンの発現が増加することが報告されている42)。このように糖尿病状態では,AGEsが蓄積することにより骨強度が低下し,さらに骨形成と骨吸収のバランスが崩れると考えられる。我々の研究グループはAGEsが歯周病原細菌の1つであるPorphyromonas gingivalis由来リポ多糖(P.g-LPS)と協調的に作用し,骨代謝の恒常性により大きな影響を与えているのではないかと考え研究を行なった。AGEsおよびP.g-LPS単独の刺激でもマウス骨細胞株のスクレロスチンの発現は増加したが,AGEsとP.g-LPS両方を添加した培地では,スクレロスチンの発現がさらに増加した43)。この結果についてマウス初代骨細胞を用いて再評価したところ,細胞株の結果とまったく同様の傾向を示した。さらにAGEsとP.g-LPSの相乗的作用により,破骨細胞の分化に重要な因子であるreceptor activator of nuclear factor kappa-B ligand(RANKL)の発現も上昇した(図3)。これらの結果から,糖尿病により蓄積したAGEsはLPS等の歯周病原因子による組織破壊作用を増強することが示唆され,他の糖尿病合併症と同様に歯周病の進行に深く関与していると考えられる。

図2

糖尿病マウスの歯肉リポカリン2(遺伝子名Lcn2)発現とAGEsとの関連

(A)10週齢のオスdb/dbマウス(2型糖尿病モデルマウス)の歯肉組織からmRNAを抽出し,RT-qPCR法によりLcn2の発現を検討した。(Unpaired t-test)(B)リポカリン発現と血中カルボキシメチルリジンの濃度との相関関係をピアソンの相関係数で検討した。

図3

マウス初代骨細胞におけるSostおよびRankl発現におよぼすAGEsとLPSの影響

C57BL/6Jマウスの下肢骨から得た骨細胞をAGEs(5 mg/mL)とP.g LPS(10 μg/mL)とともに培養し,抽出したmRNAを用いてSostRanklの発現をRT-qPCRで検討した。(p<0.05,**p<0.01,Two-way ANOVA and Tukey’s test)

4. まとめと今後の展望

糖尿病と歯周病との関連については,約半世紀も前から研究が行われてきたが,ペリオドンタルメディシンという学問・研究体系が提唱されて以来,その研究は急速に加速してきた。中でも糖尿病合併症の主要な因子の1つであるAGEsは,歯周病の病態をより複雑化させ,進行に大きく関わっていると考えられている。我々はAGEsが生体の感染に対する防御機構を破綻させる一因となっており,歯周病の重篤化に関与する可能性を示し,また歯周病原因子による組織破壊作用を加速させる付加的な役割も明らかにしてきた(図4)。

AGEsが歯周病の病態に大きな影響を与えることについては,多くの臨床・基礎研究によりエビデンスが蓄積しつつある。一方で,糖尿病合併症の予防のため,AGEsの体内での生成,蓄積そのものを予防できないかという試みが国内外で行われている。例えば,糖代謝の中間産物であるメチルグリオキサールがAGEs化するのを防ぐ化学物質アミノグアニジンはアメリカ合衆国で糖尿病合併症予防薬として大規模な臨床治験が実施された。それによると,尿タンパク排泄量の低下(腎機能の抑制)や網膜症の進行抑制などの効果が認められたものの44),有効性が明らかではなく,重篤な副作用も認められたため中止に至っている。このようにAGEsを基軸とした糖尿病合併症治療アプローチが試みられているが,残念ながら実用化には至っていない。さらに,近年のAGEsに関する研究では,食品に含まれる外来性AGEsが細胞の働きに悪影響を及ぼすという報告も増えてきているが,これら外来性AGEsについてもさらなる基礎的研究データの蓄積が必要である。今後も多角的な視点から研究を継続し,糖尿病と歯周病の複雑な関連性を解明することで,その予防法や治療法の開発に寄与することが期待される。

図4

AGEsが糖尿病患者における歯周病の増悪化に与える影響

今回の論文に関連して,開示すべき利益相反状態はありません。

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