1984 年 26 巻 2 号 p. 179-200
粉砕脱灰骨基質の歯周外科臨床への応用の可能性を評価する目的で実験を行った。健常雑種成犬20頭を用い, 実験群1では, 左右下顎小臼歯部に水平骨欠損および, 根分岐部骨欠損を人工的に形成し, 粉砕脱灰骨基質を移植充填したものを実験側, 何ら充填しないものを対照側とした。
実験群2では実験群1と同様の骨欠損を作製し, 歯頸部に0.4mmステンレス鋼線を結紮, 6ヵ月間放置することにより慢性歯周炎を惹起させ, フラップ・オペレーションを行った後, 実験1と同様片側に移植充填を行い, 経時的変化の推移を規格X線学的, 病理組織学的に検索した。その結果, 実験群1では対照側に比し, 実験側では, いずれも早期に骨新生がみられ, 又結合織性再付着も認められた。実験群2では, 慢性歯周炎による悪環境にもかかわらず, 実験側では, 3ヵ月で骨新生及び新付着がみられたことにより, 臨床応用への可能性が示唆された。