日本歯周病学会会誌
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口呼吸の歯垢形成におよぼす影響について
サルにおける実験的研究
水野 利昭
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1985 年 27 巻 4 号 p. 739-756

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抄録

この研究の主目的は, 口呼吸と歯垢形成との関連を明らかにすることである。そのためにオスのカニクイザル2頭を用い, 鼻呼吸と口呼吸を反復して行わせ, それぞれの期間中の歯垢の形成量を規格写真などで比較した。その結果, 口呼吸により歯垢の形成量が有意に増加した観察部位は, 7部位のうち5部位であった。すなわち上顎中切歯の唇面と口蓋面, 上顎臼歯部の口蓋面, 下顎中切歯の唇面と下顎臼歯部の頬面である。最も特徴的な歯垢形成を示した部位は, 上顎中切歯の唇面であり, ここでの歯垢形成は鼻呼吸期間では隣接面と歯頸部から始まったが, 口呼吸期間では切縁付近から形成され始めた。口呼吸により歯垢形成が促進された原因は, (1) 舌や口唇による歯面への機械的自浄作用の低下, (2) 口呼吸による歯面の乾燥と湿潤との反復があったと思われる。

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