日本歯周病学会会誌
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歯肉色に関する研究
深井 浩一
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1988 年 30 巻 2 号 p. 428-451

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抄録
臨床における歯肉色診査の定量化を目的として, パーソナルコンピユータを応用した工業用分光測定器を改良し臨床的正常歯肉, 歯周疾患罹患歯肉を測定した。この結果の検討により以下の結論を得た。
1. 24名の臨床的正常歯肉を対象に測定条件を調査した結果, 測定方法はプローベと歯肉問を直角とし, わずかに離開させ, 歯肉乾燥状態のときに再現性がよかった。またこのときの歯肉の示す分光波形, および歯肉メラニン色素沈着除去症例の波形より歯肉色の成因要素としては血液ヘモグロビン, メラニン色素, および上皮厚径, 角化度による明度の影響が考えられた。
2. 1での測定法により, 30名の臨床的正常歯肉を対象として全顎唇頬側歯間部歯肉を測定し, CIE表色系値に変換した。この結果, Y値は上顎が高く, x値は部位, 性での一定の傾向を認めず, y値は下顎, 女性で高い値を示した。
3. 同様に12名の歯周疾患初診患者を測定し, CIE表色系値に変換, さらに各歯間部歯肉の臨床的炎症指標としての歯間部G.I. 値, G.B.I. 値と比較検討した。この結果, Y値はこれらの指標と負の相関を示し, x値とは正の相関を認めたがy値とは相関関係を認めなかった。
以上より歯肉色のY, x値の測定により, 炎肝の定量化の可能性が示唆された。
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