日本歯周病学会会誌
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若年者の歯列不正に対する矯正 - 歯周治療の効果
柳村 光寛小池 文一呉 忠憲原 耕二篠倉 均花田 晃治
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1988 年 30 巻 3 号 p. 901-914

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抄録

前歯部歯列不正を有する若年者10名の矯正-歯周治療効果を3+3, あるいは3+3の18部位の歯肉溝滲出液 (以下GCF) をマーカーとしてその中のcollagen破壊酵素のcollagenase活性, 炎症のマーカーとしてのacid, alkaline phosphatase活性を測定し判定した。歯列不正歯の歯肉溝中の炎症細胞数と歯周組織の炎症との関連についても検討し以下の結果を得た。歯周治療前の総GCFはPeriotron値で1, 147±412であったが, 初期治療後は328±97となり, メインテナンスを続けた結果, 256±133となり有意に減少した。GCF中のcollagenase活性は, 歯周治療前43, 457±22, 934 (cpm, Mean±S.D.) であったものが初期治療後13, 302±6, 125と有意に減少しメインテナンス期にも低い活性を維持していた。collagenaseには活性型と潜在型があり, 初期治療前には活性型と潜在型のタンパクあたりの活性には差は見られなかった。メインテナンス期には活性型collagenaseのタンパクあたりの活性は初診時と有意差はなく, 潜在型collagenaseの活性は有意に上昇した。acid phosphataseの活性は歯周初期治療後およびメインテナンス期には初診時の18%, 10%にそれぞれ下がりalkaline phosphataseの活性はメインテナンス期には初診時の18%のレベルまで低下した。白血球数は初期治療後, メインテナンス期で初診時の30%以下になった。臨床的パラメーターに関しては, Gingival Index, Plaque Index, Gingival Bleeding Index, pocket depthともに有意な改善が認められた。

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