日本歯周病学会会誌
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アンケート調査と歯周ポケット診査による川越市下の中学生および高校生の歯周疾患の実態および歯周疾患への意識調査
中島 啓次前田 聡下山 雅通唐見 和夫下島 孝裕渡辺 幸男池田 克已
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1988 年 30 巻 3 号 p. 935-946

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抄録

中学生および高校生の男女を対象に, 歯周疾患の罹患状態を, アンケート用紙および歯周ポケット診査などから, これを疫学的に調査し, 若年者の歯周疾患の実態を把握する一方, 若年者の歯周疾患への意識についてあわせて検討した。
すなわち, 調査は2段階に分けて行い, 第1段階は, 川越市下の中学生および高校生 (12~18歳) 4, 292名を対象に, 歯周疾患に関連するアンケート調査で, 第2段階は, その結果, 歯周疾患に関する自覚症状を1つ以上持っている者1, 333名を対象に歯周ポケット深さの測定を行った。
この結果, 深さ4mm以上の歯周ポケットを1歯以上有する者は, 対象者全員の3.1%, そして口腔内検診受診者全員の10.0%であった。また, 深さ4mm以上の歯周ポケットを1歯以上有する者は, 男女ともに, '年齢が進むに従って, 減少する傾向が認められた。また, 女子より男子に高い傾向を認めた。
アンケート調査の結果, 最も高い回答率を示した自覚症状は, 歯磨き時の歯肉からの出血 (17.8%) であり, 続いて食片圧入 (16.7%) であった。また, 口腔内検診受診者を, 深さ4mm以上の歯周ポケットの有無で層別し, これら両者をアンケート調査の各項目についてその回答率で比較すると, “歯肉の腫脹”, “歯磨き時の出血”, “口腔内の不快感”, “口臭”, および“歯周疾患を歯科医師に指摘された経験”に関する項目で, 深さ4mm以上の歯周ポケットを1歯以上有する者が有意に高かった。しかし, “歯の動揺”についてはその傾向は逆で, また, “食片圧入”については, 有意な差は認められなかった。
また, “歯周疾患を歯科医に指摘された経験”を持つ者のは, 年齢とともに有意に増加した。しかし, “口腔内の不快感”や, “口臭”を自覚症状として持つ者のは, 年齢とともに有意に減少した。

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