日本歯周病学会会誌
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結晶化ガラス(CaO-P2O5-MgO-SiO2-CaF系)人工歯根のサル歯槽骨内インプラント後の臨床的, 病理組織学的観察
本郷 興人向中野 浩浅野 元広川浪 雅光加藤 熈
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1989 年 31 巻 4 号 p. 1119-1129

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抄録

生体新素材であるCaO-P2O5-MgO-SiO2-CaF系結晶化ガラス人工歯根の歯周組織への適合性を検討する目的で, サル2頭を用いて実験を行った。サル上下顎の計8部位に人工歯根インプラントを行い, 6部位は1週目に歯冠補綴して咬合させ, 2部位はコントロールとして歯冠補綴せずに, 4~12週の観察期間で臨床的, 病理組織学的に観察した。その結果,8歯根中7歯根は臨床的に良好に経過し, 強固に植立していた。しかし1例のみは5週後に自然脱落した。
病理組織学的には, 人工歯根は完全に骨に取り囲まれ, そのほとんどは骨結合の形で骨と結合していた。インプラント頸部付近は結合組織が密に取り囲み, さらに天然歯に類似した上皮性付着が形成されていた。
インプラント後早期(1週目)に歯冠補綴しsingle standingの状態で咬合に関与させたが, 術後の治癒は阻害されなかった。これらの結果から, 今回用いた結晶化ガラス人工歯根は歯周組織に対し良好な親和性を有し, 人工歯根として有用な材料であると考えられた。

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