1990 年 32 巻 2 号 p. 681-688
本実験では, 歯肉縁上のプラークコントロールとポケット内洗浄が歯肉縁下細菌叢や臨床的な各指数に及ぼす影響を検討した。
被験者は9人の成人型歯周炎患者を用いた。各々の患者から5mmの歯周ポケットを選択して, 実験に供した。細菌数の検査は, 位相差顕微鏡を用いてスピロヘータ数, 総細菌数を算定した。臨床的には, PL-I, GI , Probing PocketDepthを計測した。診査時期は0, 2, 4週目に行なった。歯肉縁上のプラークコントロールはスクラッビング法によるブラッシングと歯問ブラシやフロスを徹底させた。また, 実験群には1週間に2回Perio-Pik ® によるポケット内洗浄を行なった。その結果, 歯肉縁上プラークコントロールが良好にできた群と, ポケット内洗浄を行なった群ではポヶット内の総細菌数, スピロヘータ数とGIを除いた臨床的な診査項目において, 初診時と比較して著明な減少をしていた。さらに, ポケット内洗浄は歯肉縁下の細菌叢を洗い流していること, また歯肉縁上のプラークコントロールとポケット内洗浄の併用効果も示唆された。