日本歯周病学会会誌
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原発性免疫不全症候群患者の口腔内所見および顎顔面形態について
窪田 道男矢沢 裕太田 美樹代飯田 正人
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1990 年 32 巻 4 号 p. 1086-1092

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抄録

原発性免疫不全症候群での歯周組織を含む口腔内所見や顎顔面形態について詳細な報告は見られないことから, 今回そのことについての検討を行った。患者は虎ノ門病院内科で分類不能型の原発性免疫不全症候群と診断され, 現在その治療継続と歯周疾患についての相談のために奥羽大学附属病院を紹介された。患者は, 典型的な低γ-グロブリン血症であり, 経静脈的にγ-グロブリン, 経口的に抗生剤の投与を受け感染予防の治療がなされている。
口腔内所見としては, 歯肉縁上歯石を伴う歯肉炎, 口腔粘膜のアフタおよび舌のびらんが認められた。重度な骨吸収を伴う歯周炎は, 臨床的に観察されなかった。細菌学的検査では, 歯肉溝や唾液中から黒色色素産生菌やフソバクテリウムが検出された。
歯周初期治療として, 口腔内清掃指導, スケーリングやリステリン®による洗口の結果, 歯肉炎は消退したが, 舌のびらんは存在したままであった。頭部X線規格写真からは, 生理的な成長や顎顔面形態に異常は見られなかった。

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