1991 年 33 巻 3 号 p. 678-684
1%ポリリン酸ナトリウム, トラネキサム酸, フッ化ナトリウム配合歯磨剤 (ポリリン酸歯磨剤) の歯石形成抑制効果ならびに歯肉炎抑制効果について, 5%ピロリン酸ナトリウム配合歯磨剤 (ピロリン酸歯磨剤) とプラセボ歯磨剤を対照として二重盲検法にて臨床的に比較検討した。某社従業員より歯石付着の認められるもの139名を選出し, 層別のため一度スケーリングを施した後, プラセボ歯磨剤を4週間使用させ, 各被験者の歯石形成能を測定した。この測定値により, 均質な3群にグループ分けしたのち, 再びスケーリングを行い, それぞれ異なる歯磨剤を使用させ, 4, 12週目に下顎前歯部の歯石付着量と歯肉炎の状態を審査した。その結果, ポリリン酸歯磨剤はピロリン酸歯磨剤, プラセボ歯磨剤に対し, 有意に高い歯石抑制効果を示した。また, 12週でポリリン酸歯磨剤とピロリン酸歯磨剤はプラセボ歯磨剤に対し, 有意に高い歯肉炎抑制効果を示した。