日本歯周病学会会誌
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GTR法に用いた膜の生体親和性に関する研究
ヒト骨芽細胞による評価系での検討
栗原 徳善辰巳 順一市村 光池田 克已
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1995 年 37 巻 3 号 p. 494-503

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抄録

歯周組織再生誘導 (Guided Tissue Regeneration, GTR) 法において, そのバリアーに用いられている各種新素材 (Gore-Tex ® 膜とMillipore ®膜) の骨への直接的作用の一端を明らかにするために, ヒト骨芽細胞様細胞 (MG63) を用い, この細胞がGTR膜と接する領域において産生する接着性タンパクの動態を経時的に検討した。すなわち当該部におけるフィプロネクチン, I型およびIII型コラーゲンについて免疫抗体法により蛍光染色を行い, さらにこの蛍光組織化学染色標本を介し, これを蛍光画像解析装置 (ACAS) を用い検討した。結果は, コントロールの実験条件 (膜と共存しない細胞層のみ) 下では, 骨芽細胞MG63は抗フィプロネクチン, I型およびIII型コラーゲンモノクローナル抗体に反応した。また, Gore-Tex ® 膜 (PTFE膜) およびMillipore ®膜 周囲のフィプロネクチンの平均蛍光量やその局在領域は, 培養3日より6日目で減少する傾向が認められたが, Gore-Tex ® 膜およびMillipore ® 膜 周囲のI型およびIII型コラーゲンの平均蛍光量やその局在は, 培養日数の経過とともに上昇する傾向を示した。他方, フィプロネクチン, I型およびIII型コラーゲンの産生において, Gore-Tex ® 膜とMillipore ® 膜 のあいだで差は認められなかった。
以上の結果から, 骨芽細胞がGTR膜に接する領域では, フィプロネクチン, I型およびIII型コラーゲン等の接着タンパクが, GTR膜周囲の細胞機能の調節に関与していることが示唆された。

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