日本歯周病学会会誌
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ユニットパルス法を用いた歯の動揺度の動的測定に関する研究 (第一報)
歯と歯周組織の模型およびヒト健全歯における基礎的検討
横田 光弘加藤 義弘小鷲 悠典
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1996 年 38 巻 4 号 p. 498-509

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抄録

歯の動揺度を客観的にしかも簡便に評価する測定システムを確立する目的で, 従来からのユニットパルス法を応用した動的測定装置に改良を加え, その有用性および臨床応用の可能性について検討を加えた。本測定システムは槌打時の歯の振動様相を加速度計から導出し, 得られた振動波形をフーリエ変換して共振周波数を求めるもので, 槌打装置にはペリオテスト ® , 加速度計には小型軽量 (重量0.15g) なものを用いた。
実験1として, 支持骨量, 歯根膜の幅, 歯根膜の弾性率を変化させた12種, 60個の模型を作製し, 本測定システムによる共振周波数, ペリオテスト値, 静的測定法による250gの荷重を加えたときの歯の変位量を測定した。その結果, 共振周波数は支持骨量, 歯根膜の幅, 歯根膜の弾性率と高い相関が認められ, 歯の変位量も同様の結果を示した。しかしペリオテスト値は支持骨量が多い場合に歯根膜の幅との相関が認められなかった。実験2として, 25~35歳 (平均29.8歳) の男性6名を被験者とし, 正常歯周組織を有する上顎中切歯7歯の共振周波数を測定した。その結果, 共振周波数F1は平均1, 300±207Hz, 共振周波数F2は平均2, 805±366Hzであった。両者の変動係数は5.1%以下であり, 本測定システムは良好な再現性を有すると考えられた。以上から, 本測定システムは歯の動揺度の客観的な測定法として臨床応用できる可能性が高いことが示唆された。

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