抄録
ブラッシング方法および術直後の創傷面を考慮し, 歯ブラシのヘッドとネック部形態, さらには毛丈と毛束配列に特長を有する新規歯ブラシによる術直後のブラッシングがもたらす影響について, これを術後に生じる歯肉の炎症改善効果およびプラーク除去効果の観点から検討を行った。被験者は, 少なくとも2ブロック以上の部位で歯周外科処置が必要と判断された成人性歯周炎患者40名 (男性14名, 女性26名, 49.0±9.6歳) で, 術後の歯周パックの有無によりこれを2つのグループ (グループA: 歯周パックを行った群, グループB: 歯周パックを行わなかった群) に層別した。試験は, 同一患者の口腔内において歯周外科処置を施した2部位をそれぞれ無作為に試験歯ブラシと殺菌剤配合リンス剤を併用する群 (試験歯ブラシ) および殺菌剤配合リンス剤のみを用いる群 (対照群) に分け, それぞれ異なった時期にこれを実施するクロスオーバー試験とした。試験期間は15日間とし試験開始時 (グループA: 術後1週間後の抜糸時, グループB: 術後翌日). 7日後 (day 7) および15日後 (day 15) の歯肉の炎症とプラークの沈着状態を比較検討するとともに, 試験歯ブラシによる為害作用および使用感についても診査した。
グループA (歯周パックを行った群) における試験歯ブラシ群の経日的な歯肉の発赤および腫脹は, 対照群のそれと比較して低い傾向を示し, day 15で両群問に統計学的な有意差が認められた (発赤: p<0.01, 腫脹: p<0.05)。この傾向はグループB (歯周パックを行わなかった群) においても同様に観察され, またday 7およびday 15のGIスコアは, 試験歯ブラシ群で有意な改善を示した (p<0.05)。他方, プラーク除去効果をPCRスコアを介して評価した結果, グループAおよびグループBのいずれにおいても, 試験歯ブラシ群は明らかな減少を示したのに対して, 対照群では試験期間を通じて大きな変化を認めなかった。また, 試験歯ブラシによる歯周組織の損傷は認められなかった。これらの結果は, 術後早期のプラークコントロールとして殺菌剤配合リンス剤による洗口と目的に応じた歯ブラシによるブラッシングを併用することが, 歯肉炎症の速やかな改善とプラーク除去を図るうえでより効果的な方法であることを示唆している。