2005 年 14 巻 1 号 p. 101-112
本研究では,自己決定理論の枠組みから,大学生を対象に友人関係への動機づけを測定する尺度を作成し,その妥当性と信頼性について検討した.先行研究に従い,外的,取り入れ,同一化,内発の4下位尺度を設定した.確認的因子分析,下位尺度間相関,他の尺度との関連から4因子構造が確認され,その妥当性が示された.信頼性については,α係数,再検査信頼性を検討した結果,一定の信頼性を有することが示された.また,友人関係への動機づけが友人への向社会的行動に及ぼす影響を検討したところ,同一化や内発など友人関係への動機づけが自己決定的であるほど,向社会的行動の生起頻度が高くなっており,そのような関連は特に男性において強く見られた.以上のことから,友人関係への動機づけは妥当性と信頼性を有し,友人への向社会的行動を予測することが明らかにされた.