パーソナリティ研究
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原著
  • 福井 晴那, 青木 佐奈枝
    2024 年 33 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2024/05/29
    公開日: 2024/05/29
    ジャーナル フリー

    心的イメージの鮮明性測定尺度においては,尺度回答時に生じるイメージ体験に関する検討はされてこなかった。そこで本研究では,尺度回答時に生じるイメージ体験の把握,分類を目的として研究を行った。成人68名にWeb調査を実施し,日本語版Psi-Q (The Plymouth Sensory Imagery Questionnaire)の視覚項目を呈示し,想起したイメージ内容について自由記述を求めた。KJ法の結果,イメージ体験は全体的に,視覚イメージのみが生じている場合,指定していない感覚モダリティイメージが生じている場合,感情体験が生じている場合に大別された。次に,視覚イメージが想起されたとする記述に対して,その特徴から分類したところ6つの軸(動き,ソース,写実的リアリティ,臨場感,視点,想起対象範囲)によって分類された。このことから尺度回答時においても多様なイメージ体験が生じていることが示された。今後の研究ではイメージ体験が鮮明性測定尺度の測定値に与える影響を慎重に検討する必要がある。

  • 向井 智哉, 松木 祐馬, 貞村 真宏, 湯山 祥, 綿村 英一郎
    2024 年 33 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2024/05/30
    公開日: 2024/05/30
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本研究では,従来禁止されてきた18歳・19歳を含む「特定少年」の実名報道の解禁という法的展開および主に社会学で論じられてきた「個人化論」を背景として,強制性交等罪と器物損害罪を題材に,実名報道と原因帰属の相互強化メカニズムに関する仮説を検証することを目的とした。研究1 (N=820)では,実名報道への支持は両罪名において属性的帰属と正に関連し,状況的帰属と負に関連することが示された。さらに研究2 (N=1,042)では,強制性交条件において,実名報道に接した回答者は,匿名報道に接した回答者と比べて犯罪者の属性に犯罪の原因を帰属する傾向にあることが見出された。結論として,これら2つの研究は,少なくとも強制性交についてのシナリオにおいては,属性的帰属が実名報道への支持を強める一方,実名報道が属性的帰属を強めるという相互強化メカニズムが存在することを示唆した。

  • 米田 健一郎, 岩野 卓, 杉浦 義典
    2024 年 33 巻 1 号 p. 32-41
    発行日: 2024/06/06
    公開日: 2024/06/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,嘔吐恐怖症に特徴的な症状である脅威モニタリングと回避行動を測定するSpecific Phobia of Vomiting Inventory日本語版(SPOVI-J)を作成し,因子構造,信頼性と妥当性を検討することであった。222名の大学生・大学院生(再検査信頼性は大学生26名)が分析対象であった。探索的因子分析の結果,SPOVI-Jが2因子構造であることが示された。また,SPOVI-J,2つの下位尺度が高い内的整合性,ある程度の再検査信頼性を有することが確認された。SPOVI-J,2つの下位尺度と嫌悪感受性の無相関は先行研究と異なる結果であり,嘔吐に関する不安とは想定より弱い相関であったが,SPOVI-J,2つの下位尺度と強迫症状,抑うつ,全般性不安症状との相関は概ね先行研究と一致し,一定の収束的妥当性が示された。また,本研究の大学生サンプルにおける原版のカットオフを上回る者の割合が21.2%であることが示された。

  • 原田 宗忠, 中井 大介, 黒川 雅幸
    2024 年 33 巻 1 号 p. 46-60
    発行日: 2024/06/13
    公開日: 2024/06/13
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本研究の目的は,小学校高学年児童および中学生版自己注目尺度を作成することであった。小学校5,6年生と中学生の計451名を対象に,2週間の間隔を空けて,質問紙調査を2度実施した。尺度は「肯定的自己への注目」,「否定的自己への注目」,「中性的自己への注目」の3因子から構成された。また,尺度の再検査信頼性が確かめられた。「肯定的自己への注目」は,「肯定的自己への注目」・「否定的自己への注目」(熊田・及川, 2015),「自己の強みへの注目」,「私的自己意識」と正の相関がみられ,「抑うつ・不安感情」とは負の相関がみられた。「否定的自己への注目」は,「否定的自己への注目」(熊田・及川, 2015),「抑うつ・不安感情」,「私的自己意識」と正の相関がみられた。「中性的自己への注目」は,「私的自己意識」,「自己の強みへの注目」,「抑うつ・不安感情」と正の相関がみられた。

  • 富井 繭, 小塩 真司
    2024 年 33 巻 1 号 p. 65-74
    発行日: 2024/06/26
    公開日: 2024/06/26
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本研究の目的は,他者からの排除経験を媒介変数とし,Dark Tetradと孤独感との関連を検討することであった。10代及び20代の日本人男女400名がDark Tetrad尺度,排除経験に関する尺度,日本語版改訂UCLA孤独感尺度に回答した。パス解析の結果,サイコパシー傾向は直接的に孤独感の高さに関連するだけではなく,排除経験を媒介変数として孤独感を増大させることが示された。また,自己愛傾向は直接的に孤独感の低さに関連するだけではなく,排除経験を媒介変数として孤独感を低減させることが示された。マキャベリアニズムとサディズム傾向は,孤独感に対して有意な間接効果を示し,排除経験を介してのみ孤独感を増大させていた。本研究の結果より,Dark Tetradが排除経験を介して孤独感に関連する可能性が示唆された。それぞれのDark Tetrad因子と排除経験や孤独感との関係について考察した。

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