パーソナリティ研究
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原著
イラショナル・ビリーフと感情の体験様式との関連
――感情体験尺度作成の試みを通して
中田(北出) 薫
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2006 年 14 巻 3 号 p. 241-253

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抄録

本研究では,自分の感情に向き合いしみじみと体験するような感情体験のあり方を「豊かな感情体験」とし,それをイラショナル・ビリーフとの関連から論じていくことを目的とした.その際,イラショナル・ビリーフ傾向が高い者ほど「豊かな感情体験」の程度が低いという仮説が立てられた.予備調査では,97名の大学生のデータを元に個人の特性的な「豊かな感情体験」の程度を捉える尺度(FES)が作成され,「感情に対する統制可能感」「感情に対する尊重性」「感情の優位性」の3因子が見出された.本調査では,126名の大学生を対象とし,FESとイラショナル・ビリーフテストとの間に低い程度の有意な負の相関が得られた.特に,自己否定的なイラショナル・ビリーフ傾向が強い者ほど感情の統制の取れなさが高いことがうかがえた.研究全体を通じて,感情に巻き込まれ混乱したり,逆に過度に抑制するような両極に陥らず,その中間で抱える体験様式の重要性について論じた.

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© 2006 日本パーソナリティ心理学会
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